Scribble at 2023-12-28 17:36:16 Last modified: 2023-12-28 19:34:02
Hacker News でも取り上げられていたし、英語で読めない人は GIGAZINE でも紹介されているから一読されるといいのだが、確かに参考になる記事ではあるけれど、やはり気になることがある。
人の記憶とコンピュータの記録は違うと言いながら、結局は説明のモデルや語彙として IT 用語を使い続けているという点だ。何を研究している専門家なのかよくわからない(大学名しか書かれていない)のだが、IT 系の学者だろうと IT を活用している脳神経科学の学者であろうと、やはり自分たちが普段から使っている概念や用語から離れて同じことが言えるかどうかを検証してからの方が説得力はある。でないと、脳はコンピュータだと思ってる人が(これはただの仮説だ)、脳をコンピュータのように説明できる、と言い張るのは当たり前のことなんだけど、それは実は学術的には妥当性がない。
ただ、この記事では積極的に普及させたほうが良いことも指摘されている。たとえば、何か特定の目的のためにやる対応だとか解決策を考えつくためのヒントとか解法というものは、たいていその目的を果たすためだけにしか役に立たない。色々な目的で考案されている解決方法をまとめて「問題解決法」などと銘打ってビジネス書の棚に並べている事例もあるし、それどころか数学書の棚には昔からポリアの『いかにして問題をとくか』という本が古典の一種として置かれているけれど、残念ながらこういう本を読んでも万能の解決マンにはなれない。それどころか、数学の問題を解く役にしか立たない筈の本を読んだくらいでビジネスや生活の問題を解決できると錯覚したり傲慢になった人物が、どれほど社会生活で他人に迷惑をかけるかは、困った人間がたくさんいるという事実で証明されている。