Scribble at 2024-03-02 21:42:20 Last modified: unmodified

添付画像

昨年の夏休みの自由研究と称して予定していた、『やちまた』の人名索引は、もうキャンセルさせていただくことにした。理由は幾つかあるのだが、まず頻出する人名(「春庭」と書かれているだけでページ数を記録していてはきりがない)と、一度しか出てこない人名とでは重要度が全く違うし、重要度の低い人名をいちいち抜き出して記録して、しかも人名索引にまで掲載して数え上げる学術的な意味がない。また、足立巻一の読者としても、それをやる値打ちがないと思う。確かに、上に添付した写真のとおり、いちどは文庫本の上下巻を眺めて初出のページだけを残すような索引は作った。それは確かなのだが、これを再びやりなおすとなると、どうしても正確に全ての token を記録してから、初出のページだけを索引として記載すればいいのか、それとも全て列挙するべきなのかを決めるほうが良いだろう。でも、ここで戻って再び考えるに、そこまで厳密なことをやるほどの学術的な価値はないというのが、正直な印象だ。

『やちまた』は愛読書の一つだ。もう5回は繰り返して通読しており、これほどの回数を何度も通読している本は、江川泰一郎氏の『英文法解説』とプラトンの『テアイテトス』くらいしかない。でも、いかに absorbing だからといって、学術的な観点での価値があるとまでは言えない。実際、大学の国文学科でも副読本に『やちまた』を指定している事例はあるが、それはあくまでも読み物としてである。そして、こう評価したからと言って著者を貶めるわけでもなければ無礼でもないと信ずる。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook