Scribble at 2023-11-22 17:41:19 Last modified: unmodified

添付画像

国税庁は22日、今年6月までの1年間(令和4事務年度)に実施した個人の所得税の税務調査結果を発表した。高所得者や不動産の大口所有者ら富裕層の申告漏れ所得総額は前年度比16・8%増の980億円で、統計を取り始めた平成21年度以降、2年連続で過去最高となった。

富裕層の申告漏れ980億円、2年連続で過去最高 SNSインフルエンサーも

これは「申告漏れ」の話であるから、その大半は件の「女性インフルエンサー」のように、無知や無頓着による申告忘れだとか、申告する必要があることをそもそも知らない人たちの話なのだろう(たぶん、お小遣いを何度かもらった程度の感覚なのだろう)。悪質なものであれば追徴課税だけでは済まないわけで、立派な「脱税」という罪に問えるからだ。したがって、これらの多くがテヘペロで済まされてしまうことは仕方がないのだろう。

ただ、その規模が1,000億円に近いとなればインパクトがある。しばしば共産党などの公約を評して「金持ちから金を取ればいいなんて言ったって、そんなの大した金額じゃないよ」などと言ったりするのだが、実際にこうして収められるべきだったお金を改めて集めて数えると、それなりの金額になるのも確かだ。共産党のように更に重税を課せば良いという主張に同意しない人であっても、こういう仕方で集まったお金の使い道については、それなりの意味があると考えるだろう。

ただ、困ったことに国政というものはフランスの経済学者が特別な思想のように騒ぎ立てるまでもなく、昔も今も、そして将来も利害の「レギュラシオン(調整)」が本質である。そして、こうした歳入を子育てに使えだの派遣社員を竹中パソナやブラックワタミから救い出せだのと特定の目的を掲げて共産党やれいわのように叫んだところで、経済学のレギュラシオン派がマルクス主義の傍流であるという皮肉な事実から分かるように、日本のような(「新しい資本主義」なーんてことまで口走っちゃう)官僚社会主義国家は、中心となる強力なリーダーシップや権威を排する責任分散を事とするため、常に利害の調整だけを目的に動いている。よって、もしも仮に奇跡的な利害の調整が行われて1,000億円を子供の就学費としてバラ撒くことになったとしても、たぶんそのお金の行き先は再び利害の調整の場に移されて、竹中パソナとか、ベネッセとか、ジャストシステムとか、そういった連中のあいだで山分けになるだけだろう。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook