Scribble at 2024-07-16 10:07:03 Last modified: 2024-07-17 15:18:22
次期アメリカ大統領選挙戦において、共和党の候補者となったトランプ元大統領が副大統領候補に指名したのが、この本の著者であるヴァンス氏である。ただ、この人物はもともとトランプに批判的だったのだけれど、いつしかトランプ支持者になっていたようだ。したがって、翻訳書には渡辺由佳里氏やブレイディみかこ氏といった、いわゆるリベラルの物書きが推薦文や解説文を寄せていたのだが、いまとなっては皮肉な印象を受ける。
でも、アメリカの政治あるいは思想とは、昔からこういうところがあるとも言える。あまり世界史の授業でも強調する教師はいないと思うが、そもそもアメリカ合衆国の歴史において、黒人奴隷を開放するべく訴えていたのは自由主義の共和党であり、奴隷制の維持を叫んでいたのは民主党であった。こういうところが、日本で気軽に語られている「自由」や「平等」といったコンセプトの歴史的な扱われ方の実態というものであり、歴史の授業というのはこういうことを教えるためにもある筈なのだが、どうもこの国ではいまだに殆ど根拠のない「伝統」だの「国柄」だのという盲言のための歴史教育ばかり口にする連中がいて困る。
それにしても、アマゾンではプレミアがついていて買えない値段になってるな。原著は2,500円だから、まだ標準的なペーパーバックの値段だけど、たぶん原著は難しい方言とかがたくさん出てくる可能性があって、読むのは難しそうだ。