Scribble at 2020-04-17 14:00:15 Last modified: 2022-10-03 15:26:25

中学から高校にかけて愛読していた、東京出版の『高校への数学』と『大学への数学』という雑誌(参考書の『大学への数学』ではない)は、何冊かをいまだに手元に置いている。たまに読み返しているのだが、優れた演習解説や記事が多いので、単純に読んでいるだけでいまだに面白い。

ブルーバックスにも高校数学を扱った本が数多くあるけれど、僕の読んだ限りでは良書が少ないという印象をもっている。ブルーバックスの本がダメな理由の筆頭は、まずブルーバックスの本には対話式が多いのだけれど、何度か書いてきたように、登場人物である高校生がたいてい灘か開成の高校生かと思うような理解と推論の力をもっていて、完全にご都合主義的な筋書きで書かれているからだ。あからさまに「受験」とか「公式」というフレーズを使って書かれたブルーバックスの本でも同じような傾向がある。はっきり言えば、そんな書き方で理解できる生徒なら、そもそもそんな通俗本を読む必要はないだろうという欺瞞的な内容のものも多い。つまり、正確に理解できていない人を読者として設定しているのに、正確に理解していなければ読み進められないような書き方をしており、これは筆者というよりも講談社の編集者の力量不足なのだろう。ブルーバックスの学参モドキと言うべきタイトルには、こうした劣悪なものが多いため、恐らく同一人物か、同一人物の影響を受けた複数の編集者が長年に渡って手掛けている、「陋習」と言うべき質の悪い編集方針が維持されているのではないか。

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