Scribble at 2024-04-30 14:51:02 Last modified: 2024-04-30 16:05:51

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人口減少が進む中、都市機能を集約して行政機能を効率化する「コンパクトシティー」構想を進めるための「立地適正化計画制度」が導入されてから今年で10年となる。500以上の自治体が計画を策定しているが、その効果は見えにくい。人口データを分析すると、郊外の人口増加を抑制しきれていない現状が見えてきた。(高松総局 山本貴大、社会部 松田卓也)

「コンパクトシティー」推進10年、見えぬ効果…郊外住民「中心部に住むメリット感じない」

池田信夫くんを始めとするリバタリアンが頻繁にこの手の話を持ち出しては、限界集落や郊外に「勝手に」住んでる住民へ中心街と同じレベルの行政サービスを確保するのは悪平等であると言ってきた。したがって、彼らの理屈によれば、先祖代々の土地などという妄想に取りつかれるのはやめて、田舎者はさっさと各地方都市の中心街に移り住んで行政サービスの負担を軽減するべきであり、それがやがて小さな政府として国民全体の負担を減らすことに役立つという。小さな政府や行政サービスの簡素化についての是非は別としても、彼らの空論は小学生の「足し算引き算」レベルの経済学としては正しい。

しかし、もう少し中学生レベルの経済学を彼ら三流大学の教員に教えてやることにするとだね、中心街に転居するにはお金がかかるという明白な条件があるのだ。そして、いまや地方都市でも地価がどんどん上がってきていて、これはもちろん単純に中心街だからというだけではなく、インバウンドを当てにして居住区域にまでホテルを建て始めているからだ。住人でもない人々のために中心街の便利な区域をどんどんホテルにしていっているため、残った居住可能な区域に立てる住宅の値段がどんどん上がるのは当然だ。いまや大阪市内でも億ションのタワーマンションが続々と建設されていて、こんなもの上場企業の部長でも買えないという状況になっている。このままだと、いくらマンションが建っても、住んでるのはヤクザか芸能人か一攫千金の成金、あるいは投資目的の中国人だけとなろう。そんな、明らかに治安の悪そうなところへ、どれほど便利であろうとわざわざ転居するもの好きはいない。あと、大阪にも言えるけど、子育て世帯にとっては会社に近いかどうかというよりも、有名進学校に近いかどうかの方が重要なんだよね(公立の観点ではどのみち越境入学であろうと、通学可能区域を近隣の市町村に限定していたりするからだ)。そして、意外と有名な進学校って中心街にはないんだよ。小学校だと、うちの母校(大阪教育大学附属天王寺小学校)と平野分校は中心街にあるけれど、分校のなかで最も偏差値の高い池田分校は池田市なんていう、人間よりもタヌキの方が多いんじゃないかという田舎にある。これに加えて、リモート・ワークが普及したせいで、出社するために満員電車に乗る必要もなくなってる会社が増えたという事情もあろう。要するに、中心街へ人を呼び込みたいなら相当な予算を使って住宅の補助を出さないと、誰もわざわざ高額な住宅のローンを組んでまで中心街に来たりしないということだ。

そして更に、リバタリアンがどれほど「行政サービスの簡素化」を叫ぼうと、たいていの生活において行政サービスの意義は理解されていない。警察署や消防署が頻繁に自分たちの生活と関わり合いがあると思ってる人はいないだろうし、病院ですらそうだろう。区役所なんて1年に1度すら足を運ぶサラリーマンなんていないだろうし、僕は大阪市中央区の区民となって20年ほどになるが、大阪市役所、いわんや大阪府庁なんて足を踏み入れたことすら1度もない。自分たちの生活と直に関係がないように感じられる行政サービスについて、現状の何が過剰なのか誰も実感がないのだから、簡素化すると言われても言葉の上で「はいそうですか」というだけのことでしかない。これでは、人を動かす動機づけにはならない。

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