Scribble at 2021-06-25 13:20:02 Last modified: 2021-06-25 13:24:34

中村元の20年かけ執筆していた『佛教語大辞典』が完成間近になったとき、原稿3万枚が、出版社へ渡したあと、引越しの過程で紛失したことがあったが、その後8年かけて書き直し、出版にこぎつけた。

中村元 原稿喪失事件

仏教学者の中村元さんの逸話として、ウィキペディアにも掲載されている非常に有名な・・・「逸話である」と、同じ単語を使って節を受けるのはエレガントな文ではないと英語の時間に教わったりするわけだが、しかし他にどう書けば良いのか困る事例だ。

それはともかく、このブログ記事は冒頭で「原稿喪失事件」について書いているものの、記事の論旨はぜんぜん関係がない。僕は論旨と関係のない皮肉とか当てつけをわざと書くことは多いが、このブログ記事の著者みたいな精神状態とは違うので、誤解されると困る。しかし読み方によっては、この記事と同じく、はっきり言えば何らかの精神疾患にある人が書くような文章だと思われるのかもしれない。注意しよう。哲学や IT 関連で愚かなことをやっている人々を侮蔑するときは、ちゃんと記事を分けて公表せねばいかんのだ(なるほど、そうしないとバカな人々には自分が侮蔑されていることが分からないだろうし)。

それはそうと、僕は中村さんのこの逸話を気軽に持ち出して何かを語るというのは不見識だと思っている。その最も大きな理由は、そもそも中村さんの原稿を紛失したという「出版社」がどこなのか、誰も知らないからだ。確かに、中村さんは敢えて記録していないのだろうし、誰にも語っていないのかもしれない。それはそれで〈分からない〉という事実が一つの逸話になりうるわけだが、しかしそれゆえにこそ安易に中村さんの人物像を描く証拠のように扱ってはいけないのだと思う。実際のところ、彼は紛失したこと自体は咎めていないものの、結局は東京書籍という別の出版社から『佛教語大辞典』を発行しているのであって、原稿を紛失した「出版社」に second chance を与えたわけでも何でもないからだ。

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