Scribble at 2024-10-12 07:48:36 Last modified: 2024-10-12 07:58:28

既に二年ほど前から小学生の流行語にすらなっているというフレーズがある。

「それってあなたの感想ですよね」

というものだ。もちろん、ご存知の方も多いだろうし、実際にひろゆきの発言を熱心に YouTube やら Abema で観ている暇人もいることだろう。

僕は、小学生が市井つまりは公の場所で、「それってあなたの感想ですよね」というフレーズを口にしている場面を見かけた経験はないのだが、恐らくこのようなフレーズを発して大人に反論できる子供もいることだろう。ただし、それは小学生に有力な学説や客観的な事実の話と個人の印象や感想とを区別するだけの背景知識があるからではなく、単に大人の語っている話が胡散臭いとか勝手なことを言ってるように見えるからだろう。憲法は小学校から教えられているが、大人の話に対して、憲法学の通説を知っていたり、憲法訴訟の判例を知っていて、「それってあなたの感想ですよね」と言う子供が、そんなにたくさんいるとは思えないからだ。

僕が昔からクリシンを哲学科で教えたり、あるいは哲学の通俗本としてクリシンを話題に盛り込んだりする愚行を非難したり冷笑しているのは、かつて1980年代に栗本慎一郎などがフジテレビなどに番組の企画を持ち込んだりしてディベート・ブームを焚き付けたときにも感じた印象と同じく、相手の表面的な言葉遣いなどに反応するだけで議論になるという錯覚をしている人が非常に多いからだ。それは都内のタワマン近辺の公園で成金サラリーマンのママ友らが交わしている、刺々しい井戸端会議と大して変わりがなく、何か参考になる発想を得ようとか建設的な議論をしようというよりも、どういう言葉を発すれば相手に悪い印象を与えないかとか、どういうキーワードを使えば相手よりも優位に立てるかという、皮肉な意味で言う「言語ゲーム」でしかないのである。

ここ最近の、哲学科の学生と称する人々がブログや掲示板に書く文章などを眺めたり、あるいは哲学に関わっているだの興味があるだのと称する小説家(いまではブッカー賞の候補になったりしているらしいが)やアイドルの発言などを眺めていると、どれほど軽妙に真善美を語る「若者らしさ」を装っていようと、僕には Z 世代や X 世代に特有の退廃とか厭世とかシニシズムしか感じられないのである。それは、若者ゆえの未熟さというよりも、それを敢えて下手に演じている「ロール・プレイング・ゲーム」のプレイヤーとしか見えないのだ。そして、彼らが哲学を「ツール扱い」するようになった元凶はと言えば、やはりきみたち都内の未熟な哲学プロパーや、無能な編集者なのである。ああ、関西にもインチキ合気道とか語ってた左翼や肉体フェチとしか思えない現象学者なんかがいたな。なんにしても、恥を知るといい。

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