Scribble at 2022-04-27 08:58:08 Last modified: 2022-05-05 16:40:13
近年は教育図書・学術資料でデジタル商品の需要が高まり、電子書籍や辞書データベースなどを提供する機会が増えてきました。紀伊國屋自身も学術情報のデジタル化には30年以上前から力を入れており、コロナ前に学術和書を中心とした電子図書館サービス「KinoDen」をリリースし、洋書については学術書を集めた研究機関向け電子書籍サービス「ProQuest Ebook Central」の代理店として販売活動を行っています。
2018年にやっと始めたサービスを宣伝して「日本の学術情報はデジタル化の面において、世界に遅れをとってしまっている」とか、笑止千万という言葉を人の姿に描いたような人物だな。そもそも電子書籍を扱う、まともなスマートフォン用のアプリケーション(「スマホアプリ」なんていう幼児語を使う気はない)すらいまだにリリースしてない業界で何をやっていようと、辺境地域で誰にも聞こえない気勢を上げているのと同じだ。
だいたい、大学の出入り業者として洋書を圧倒的に高額な値段で(手数料がかかるから現地の定価より高額なのはいいとして)販売してきたわけだから、いまや個人で洋書をいくらでも買える時代にあっておそまきに学術文献の情報プラットフォームを構築するなどと言っても無意味だろう。いま博士課程を出て、日本の、しかも出版社ですらない書店や印刷屋が構築するオンライン・サービスを研究リソースとして信頼したり拠点にするなんて人はいまい。ふつうは Mendeley とか EndNote とか RefWorks とかを使うはずだ。こんなのは Wikipedia に多数が紹介されている。
もちろん、僕も Mendeley のユーザなので、こういうプラットフォームで文献を検索しても日本の学術誌や大学の紀要に掲載される論文なんてヒットしないのは知っているが、それを「残念」だとか何かの致命的なリスクがあるとは誰も思わないだろう。そして、そういう実情の責任が日本の学術研究コミュニティ〈にも〉あるのは確かだが、しかし他方で国内の出版・販売・配本・取次・輸入・マスコミの事業者にも大きな責任がある。誰も使わないようなオンライン・サービスを2018年になってリリースしたような斜陽の事業者が学術文献情報の管理をいまになって語るとは、アマチュアの観点で見ても片腹痛い。