Scribble at 2025-02-04 14:40:16 Last modified: 2025-02-05 14:01:36

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印刷屋さんのサイトで、こういうことを表記してる事例が割とよくあるんだけど、いくら「超高精細」とは言っても、こんな密度の印刷は無理だろう。最高画質と言われているラムダプリントでも、せいぜい 400 dpi だよ。もちろん家庭用ですら 1,200 dpi のプリンタがあるから、別に数値としてはおかしくない。でも、凸版印刷が採用している HP Indigo 12000 HD デジタル印刷機ですら解像度は 1,200 dpi なので。こんな解像度のプリンタなんて聞いたことがないし、HP Indigo 12000 HD デジタル印刷機ですら、町中の印刷屋がリース契約で導入できる値段でもないと思う。

それに、そもそも dpi の値と目で見たときの美しさや細かさは同じではないわけで、いくら dpi の数が大きくても「高精細」であるという保証にはならないのだ。たとえばインクジェットのプリンタだと、一つの色を表現するためには複数のインクを並べる必要があって、インクの複雑な組み合わせでないと表現できない色の場合は、いくら数値的な解像度(密度)が高くても、多くのドットを使ってでしか一つの色を見せられないので、それだけ広い領域が必要になる。これは、写真のように一つのドットで多くの色を出せる手法とは違っているので、一口に解像度とは言っても、どういう機器でどういう材質にどうやって色を定着させるかによって、綺麗とか細かいといった見た目の基準が変わってくるのである。

一般論として言えば、商業印刷で利用する業務用のデジタル・プリンターに入稿するデータなら、A4 版で 2,894 x 4,093 ピクセル(350 dpi 相当のカラー印刷)が標準的だとされている。これは、もちろん最近のカメラの性能ならスマートフォンでも簡単に撮影できるていどのデータ量だろう。なので、実際にカメラで食べている人たちが証言してるように、カメラの性能だけならプロは必要なくなっている。でも、それだけ高性能なカメラを採用しているスマートフォンが世界中に何億台と使われていても、やっぱり 99.99 % の写真は素人のスナップやセルフィー止まりであって、他人様からお金をもらうような写真でもなければ、撮影した本人がプロを名乗れるわけでもないのだ。

要するに密度と画素数(どちらも雑に「解像度」と言ってるが)をデタラメに扱うなって話だ。

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