Scribble at 2023-05-10 20:14:30 Last modified: 2023-05-10 21:08:54

新型コロナウイルス感染症が蔓延してからというもの、更にエンジニア派遣とか人材紹介の営業メールが増えた。いったい日本のどこに「エンジニア」がそんなにいるのかと思うほどだ。そして、エンジニアを必要とする会社がそんなにたくさんあるわけないのに、当社のようなネット・ベンチャーはともかくとして、色々な会社に営業メールをやたらにばら撒いているのが、RPA 以下のロボットと言われるクラウド・ワーカーだ。なんでも、干物の小売店にまで Java のエンジニアを雇わないかと営業メールを送って、店主のブログで嘲笑されているという。正直、そういう「エンジニア」の実態なんて、せいぜい IBM や富士通の5次請けで食ってる零細ベンダーの下っ端コーダーといった程度の人材だろうと思う。

もちろん、国内に「超」のつく有能な人材は残っていまい。そういう人材は当たり前だが英語で生活できるのだからアメリカへ行くからだ。同一労働同一賃金なんて嘘っぱちだし、国や企業ごとに格差があって、その差分がグローバリゼーションの中ですら平衡状態となったり一定のレベルに収束するまでには時間がかかる。早くても数年、そしてご承知のように日本とアメリカを比較するだけでも、IT 企業の年収なんてぜんぜん格差が平衡状態にならない。日本にいなくてはいけないという特殊な事情がない限りは、有能であればあるほどアメリカで働くのが当然だろう。リモート・ワークが普及したから日本でもいいと思うかもしれないが(つまり日本でアメリカの IT ベンチャーに join するということ)、現実にはそんなことをやってるのは一部の大企業だけだし、いまやそうした企業の多くが社員を再び事業所へ集めようとしている。

その理由は、成果型の人事考課(いわゆる「結果主義」)の多くが失敗しているのと同じだ。成果さえ出せば何をしてもいいといっても、成果が出なかったときに首を切ればいいだけかといえば、そうではないからである。無数の主婦にアクセサリーの内職を発注するのとは違って、多くの企業のエンジニアは簡単に置き換えも出来ず、同時並行で複数の人員に同じようなタスクを担わせているわけではないため、首にすればいいからといって成果がそもそも出なくては困るからだ。そして、成果型にして自由にさせると歩留まり率が低い(たいていのエンジニアも、スタンフォードの博士号をもっていようと凡人だ)のは当然なので、結果主義は不足した成果をリカバーするコストが大きすぎるのだ。

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