Scribble at 2025-10-12 10:53:12 Last modified: 2025-10-12 13:18:44

添付画像

そろそろ異なる条件でも生成画像を作ってみようということで、FLUX.1 dev (fp8) という SDXL よりも更に新しいベース・モデルを使って、生成するためのプラットフォームも Stable Diffusion Web UI から ComfyUI へと変更して試した。上に添付した画像のように、なるほどプロンプト(Written text "Hello!" on an apple)の描画も成功率が高いし、キーワードの解析もそれなりに正確だ。ただし、そのまま状況を描写するだけだとクレイ・アニメーションみたいな質感の妙な絵が出やすいので、写実的、もしくはイラストのどちらかに明確なスタイルを適用するには、もう少し工夫が必要なのだろう。ひとまず、FLUX.1 にも LoRA のような追加のモデルは使えるようだが、まずはプロンプトの組み立てだけで挑戦してみよう。

思えば、こういうことをやり始めたのも2年前になるのだが、それから随分と生成 AI の利用状況は普及してきたし拡大してはいるものの、実際には画像の生成 AI で何か劇的なことが起きているかと言えば、そうでもないと思う。せいぜい、アマゾンなどに「写真集」と名乗る低劣なスケベ電子書籍が増殖していたり、あるいは街頭で見かけるポスターなどにヘタレ画像が使われるようになったのは分かるが、目を瞠るような作品がぜんぜん増えていない。それはそうだ。静止画を生成 AI で出せるというだけでは生産性がいまだに商用レベルとは言えないし、動画に至っては全く子供の遊びでしかない。

ちまたでは、講師やら専門家や元コンピュータ・サイエンスの学生と称する詐欺師どもが、あからさまなサムライ商法やクズみたいなアフィリエイトはもちろん、note などでの情報商材詐欺に勤しんでいるようだが、実際のところウェブの制作会社でもありネット・ベンチャーでもある当社ですら、生成 AI の用途なんて簡単なテキストの編集が多く、画像を生成して電通案件で納品するなんて考えもしないことだ。

要するに、現行の画像生成 AI で吐き出した画像を Photoshop で手直ししたていどで他人からお金が取れるなんてことをブログで「マネタイズ」などと称して煽っている連中など、恐らく自分ではイラストレータやデザイナーとして仕事をしたこともない専門学校や大学の学生、いやそれどころか高校以下の小僧や、適当なデジタル内職とか派遣くらいしか経験のない人々だろうと思う。他の、流行しているオンライン・サービスなどを解説してきたゴロツキどもにも共通することだが、こういう暇に任せてツールやサービスを使い倒した経験だけで専門家ヅラして手順を説明するような詐欺師がウェブにはたくさんいて、資格も経験も実績も必要ないので、それこそ小学生でも「ChatGPT 講座」の講師を名乗れてしまう(アバターを作れば萌えキャラ講師としていくらでも顔は隠せる)。

でも、コンピュータ・サイエンスの素養があるだけでなく、プロのデザイナーとしても仕事をしてきた人間として言わせてもらえば、画像生成 AI の吐き出した画像は、どれほど最新のモデルを使って、パソコンおたくが豚小屋に置いてる数百万円のマシンで作ったものであろうと、われわれが仕事に使えるレベルではない。せいぜい、僕のように管理系のスタッフが社内研修で使う資料の挿し絵とかに「いらすとや」のイラストと同じていどの気軽さで使ってお茶を濁すような用途が限度だろうと思う。それは、実際に仕事で使っているテキストの生成や編集についても、やはり当社の編集専門のスタッフが校閲・校正しなければ、とても公開できるものではない。少なくとも最大手の広告代理店やメディア企業の名前でサービスを展開している当社としては、WELQ や tabi labo とは次元の違うクオリティでコンテンツを作るのが当然であろう。

なので、当サイトでも生成 AI についてコンテンツを公開するとは思うが、僕は自分で作った画像を(少なくともそのままでは)「作品」などとは呼ばないし、ライセンスとして許されていても無加工のままでは販売など決してしない。Osaka Metro の構内で掲示板に使われているようなゴミなどいくらでも片手間に作れるが、僕らは少なくともデザイナーであるからには、そんなものを手を入れずに人前へ「プロダクト」として出すほど厚顔無恥ではない。ここで公開する画像のように、落書きのおまけやサンプルとして公開するならともかく、何の加工もしない生成画像なんてものは高校のクラブ活動でいじくり回すのが関の山だ。

それに、調べてみれば分かることだが、僕が使い始めた最新の画像生成 AI モデルの一つである「FLUX.1」を Hacker News のような技術者・起業家向けのブックマーク・サイトで検索しても、ほぼ話題になどなっていないと言える。100以上の upvote が付いている記事は、わずかに三つだ。それはそうだろう。パソコンのヘビー・ユーザはもとより、ライト・ユーザすら少ない。自宅にパソコンがあったとしても、3D のモデルが流麗に動いたりしない、せいぜい MS Office が使えるていどのパソコンでしか自宅で画像を生成できないようでは、FLUX.1 どころか SDXL すら普及なんてするわけがないのだ。"e-sports" なんていう、実は全く流行なんかしてない業界の自己宣伝ばかりが目立つジャンルに関わってる連中を除けば、実際のところ自宅で快適に最新のゲームをプレイできるパソコンを持っている人なんて、スマートフォンでゲームしているプレイヤーに比べたら圧倒的に少ない。そういうパソコンでなければ、FLUX.1 を動かすどころか、そもそも自宅のパソコンで画像を生成なんてできないのである。

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