Scribble at 2024-07-26 10:02:53 Last modified: 2024-07-26 10:09:04

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元祖チェルシーは英北部スコットランドの伝統キャンディーの製法で1971年に発売した。2002年度に約25億円あったシリーズの売上高は、22年度には5分の1まで落ち込み、今春生産を終了した。

生産終了の「チェルシー」、北海道限定で復活 バターなどに現地産使用、9月3日発売

5億円も売上があれば生産・販売を継続してもいいと思うかもしれないが、この手の嗜好品については(というか財務全般の話に言えるが)売上の額面なんてどうだっていいんだよな。マスコミは売上の数字しか取材できないから売上の数字だけで色々と説明するわけだけど、実はビジネスの話としては売上の数字なんて殆ど実質的な議論ができない表面的な「数字」にすぎないんだよ。そこは、学生とか主婦とか、あるいは経営や財務に関わったことがない高齢者でも誤解されないようお願いしたい。「チェルシー」という単独の商品や菓子類という事業単独での財務状況や簿記の内容なんてものは、当然ながら機密にあたる。上場企業であっても議決権の 3/100 以上を持っていない株主は会計帳簿の閲覧権を行使できない機密にあたるため、こういう実態を新聞社やテレビ局の記者、あるいはそのへんに履いて捨てるほどいるライターや物書きが知りうる可能性は殆どないと言って良い。また、株主が閲覧権を行使できたとしても、それをマスコミにリークすることは情報をインサイダー取り引きへ転用できる可能性もあり、厳重に禁止されている。

ということなので、「チェルシー」の売上が5億円だとしても、その製造や販売にかかるコストによっては、営業利益が殆ど出ていない可能性があるのだ。したがって、売上の額面だけで「儲かってる」などと判断するのは素人なのである。こんなことは自宅で商売をやってる家に生まれた人間なら誰でも知ってることだろう。店に並んでいる商品が自分の家のものでもなければ、店のレジに入っている札束が全て自分の家の資産でもないと、親に注意されて育っていない自営業の子供などいないはずである。で、どうして利益が出ない可能性があるかというと、ピーク時には25億円の売上があったというのだから、つまりは現状に比べて5倍の生産設備を稼働させていたのだから、それだけの投資をしていたわけである。機材を定期的に買い替えたり、もちろん半世紀前後の歴史においては担当者を定期的に入れ替えたり補充もしてきたであろう。しかし単純に売上が 1/5 になると、簡単な話だと 4/5 の生産設備や人員は不要であり、余計な出費がかかる。また、原材料の仕入れを減らすと単位あたりの仕入れ価格が割高になるのが当たり前なので、商品あたりのコストが高くなる。最初から売上規模に最適化された設備や人員なら製造と販売が続けられる可能性があるため、上の記事のように改めて引き受けるところも出てくるのだが、大きな売上規模に最適化されたところから縮小するのは、やはりどこでも難しいわけである。

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