Scribble at 2024-06-05 17:26:58 Last modified: unmodified

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ヘンリー・ジェイ・プリスビロー『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』(勝間田敬弘/監修, 小田嶋由美子/訳、みすず書房、2019)

かなり早足で通読した。なぜなら、この本にはただ1点、麻酔によって意識はどうなるのかという問いについての、医学的に正確な説明を期待していただけだったからだ。しかし、残念ながら本書に意識がどうなるかという説明は全く無かった。

でも、それは当たり前だったのだ。麻酔を受けた当人は意識が消失するので、「何が」消失していたのかを感覚も記憶もしていない。そして、麻酔科医が観察している限り、その観察だけで意識がなんであるかを説明できるわけではないからだ。いかに麻酔科医と言えど、観察だけで意識がなんであるかと理解できるなら、これほど哲学や脳神経科学の論文が山のように書かれることもなかったはずだ。

ということで、麻酔にまつわる読み物としては非常に興味深く読めたけれど、意識、それはつまりPHILSCI.INFO で公開している論説(「自分自身の死」)を展開するために役立つ説明や議論は得られなかった。

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