Scribble at 2023-12-03 15:02:09 Last modified: 2023-12-03 15:08:18

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Debian のバージョン 11 のドキュメントを開いていて、そういやバージョン 12 になったのにドキュメントはアップデートされていないのかと思って、トップ・ページを開いてみた。すると、シンプルだがなぜか混乱させられる変な UX デザインのサイトになっていて、同じドキュメントの最新バージョンがどこにあるのか分かりにくい。そして、色々と Debian の文書を眺めていて感じたのだが、あんまり日本語への翻訳って進んでいないのだな。11 のドキュメントに立ち返って幾つかのページを確認し直してみたが、中途半端な翻訳に終わっているページが非常に多い。この状態でバージョン 12 の翻訳に移っても、また中途半端で放置されるのではあるまいか。

こうしたことは、ディストリビューションによって事情が異なるのは確かだ。はっきり言って日本では Ubuntu も含めて Debian は殆ど使われていないので、頭数が少ないから仕方がないのだろう。実際、初心者向けに Ubuntu の通俗本は幾つか出ているけれど、Ubuntu のユーザという人物のブログ記事やツイートなど見たこともなければ、取り引きのあるベンダーとかフリーの技術者で Ubuntu や Debian のユーザだという人もいないし、受託案件でも Debian で動いているサーバなんて20年以上のサーバ・エンジニアとしての経験で言っても事例は一つもない。やはり GNU/Linux では RedHat 系統のディストリビューションが圧倒的だ。したがって、自然と発売される入門書も CentOS だ Fedora だ RHE だの本が多くなるし、VPS や専有サーバで選択できる OS も RedHat か他の系統かという選択肢ではなく、Rocky Linux か AlmaLinux か CentOS Stream か RHE かといった、RedHat 系列の中での選択になったりする。

ただ、それでも問題なければ構わないのだろう。上記は日本人が英語で書き起こしたリファレンスの文書であり、Debian のユーザの大半が英語で読み書きできるレベルを前提にしているなら、それはそれで別に構わないと思う。英語でリリース・ノートやドキュメントや FAQ やメーリング・リストやフォーラムの議論をフォローできない人が Linux を運用するのは、現実には難しいからだ。日本語で書かれた書籍やブログ記事だけで満足に運用するのは、たいへん危険だし、プロのサーバ・エンジニアとして言わせてもらえば、英語で読み書きできない人がサーバを運用するのは迷惑だからやめてもらいたいとすら思う。これはプライベートなサイトのウェブ・サーバをアマチュアが運用するという場合でも同じことが言える。VPS などインターネットに公開している限りは、サーバの運用が甘いと簡単にボットやスパムの踏み台に使われたりする。だが、プロのわれわれはテヘペロでは済まないが、無能なやつに限ってテヘペロで済んでしまうし、素人や無能にはモラル・ハザードがあるのだから、わざわざリスクを引き上げるためにサーバを動かしているようなものである。

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