Scribble at 2023-08-08 13:16:54 Last modified: 2023-08-08 19:08:48

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Webサイトやドメインは資産じゃないですか。みんながせっかくリンクしてくれたりブログパーツを貼ってくれたりしたものを、比較的短期間で手放してしまうのは、いろんな意味でもったいないです。ブランド的な意味でも、下世話な話SEO的な意味でも。

Webサイトを残す、ということ – JR西日本「ありがとう0系新幹線」サイトを見て

僕のプロフィールで書いているように、この「ありがとう0系新幹線」のサイトを15年前に僕が開発した。担当はサーバ構築とメインのシステム(投稿コンテンツやブログパーツの制御)、それからバックエンドのデータ管理と、投稿データの管理システムである。要するに、サイトやブログパーツのデザインを除く実制作とシステム運用を担当した。そして、既に無くなってしまったイベントなのだが、東京インタラクティブ・アド・アワードの入賞作品として、JR西日本コミュニケーションズさんとともに幾つかのメディアで紹介されたこともある。業界の常識として考えても15年なんていう期間におよぶ NDA はないので、もう案件の具体的な逸話を書いてもいいだろうし、どこかへ了解を取る必要もないだろう。ちなみに、弊社でこの案件に関わったメンバーは、僕を除いて全員が退職してしまっているし、おそらく広告代理店で当時の担当だった人たちも既にいるまい。

さて、上記のように書いていただいているのはありがたいことだし、もちろんアーカイブできればいいとは思うけれど、運用コストに見合う何かがあるかどうかは JR の判断になる。馬場俊英氏に一定のギャランティーを支払い続けるとか、そういう現実的な計算が必要になる。ただ、この手のコンテンツはどうしても(それこそインターネットなんてなかった頃から)イベント屋とか広告代理店が手掛ける打ち上げ花火的なものであって、記録というよりも記憶なり短期間のパブリシティ獲得とかプレゼンスのアピールとかに利用されて、いわば使い捨ての広告ツールとして扱われる。もともとメンテナンスやアーカイブするなんて発想はないのだ。そして、この事自体に良い悪いを言っても仕方ないと思う。だから、残したい人は自力でページをダウンロードしたり Wayback Machine にキャッシュさせたりするわけである。そして、元考古学少年としても言えることだが、人がやることの記録なんて全て残してもしょうがないのだ。

なので、僕はこのサイトのコンテンツを(投稿データは個人情報なので廃棄してしまっているが)バックアップして保有しているけれど、それをどこかへ会社や JR に無断で公開することはできないし、そんなことをやる意味もないと思う。あれは、あのときオンラインのイベントでサイトを眺めたりブログ・パーツで遊んだ人が感じたり思ったこと、つまりは効用が重要なのである。よって、かなり皮肉な言い方になるが、上記のブログ記事は、まさに「アーカイブするようなコンテンツがあってもいいなぁ」という感想こそが重要なのだ。そして、アーカイブしたいなら、それぞれがページのスクリーンショットを保存したり、ページをダウンロードすればいいわけであって、たぶん公的あるいは私企業に委ねるのは限界がある。特に、公的な文書であろうと勝手に間違いで廃棄したり、信念をもって紛失するなんていう国家官僚が山のようにいる田舎国家では、それぞれが必要だと思ったリソースを自力で残すしかないと思う。

とは言え、サイトの制作側にいた者が実情を書いておくことは、これは僕にしか書けないことなので、何らかの形でご紹介することにも多少の意味はあろうと思う。たとえば、この「さよなら0系新幹線」のサイトでは、大量の投稿データやブログ・パーツの登録サイトのデータを管理していたのだけれど、実は DBMS を使っていない。全て、ファイル・ベースのデータベースで管理していたのである。そういった話は、機会があればここでご紹介したい。

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