Scribble at 2026-06-01 09:53:20 Last modified: 2026-06-02 08:30:27
こういう、Nature や Scientific American などと比べて誰も見聞きしたことがないようなウェブサイトやウェブ・マガジンが「メディア」を自称して、科学論文と称する文書を紹介したり、その科学論文によると称して色々なことを書いている。広く言えば日本の GIGAZINE なんかも、この手の自称「メディア」の一つであって、個々の記事に出来栄えの良し悪しがあるのはいいとしても、およそ「メディア」として信頼に足るとは言えないものが大半を占めている。
いま「大半」という言葉を使ったのだが、もうこの表現ですら過小評価に類するかもしれない。「多い」とか「そういうものがある」などと手加減して表現していてはいけないレベルだ。なぜなら、この数年で生成 AI を使って自動翻訳しただけのウェブ・ページを量産して「メディア」を名乗るウェブサイトが(もちろんフィッシング攻撃を目的とするものも含めて)続々と増えていっているからである。
これに比べて、まともなレベルの記事を書ける人間なんて人数が最初から限られているわけだし、その中でもエディトリアル・デザインの訓練を受けたり出版社や新聞社などに勤務していた人材など、メディアの編集者として一定の素養がある人物も限られている。したがって、まともなレベルのメディアなんて続々と増えるわけがないし、そこで公開される記事だって簡単に量産できるわけがないのだ。仮に下書きや調査で生成 AI を使うとしても、その検証や推敲などに時間をかけるのが当然であるから、プロパーの研究職に従事している者であっても(もちろん仕事や自分の研究にも時間を使うのだし)、手掛けられる論説なんて1ヵ月で1本ていどが限界だろう。
ということで、上のようなインチキとしかいいようがない文章を「メディア」の記事として平然と公開するゴロツキが「専門家」や「科学ライター」などを自称しているわけだ。実際、この記事を話題にしている Hacker News でも大半のコメントで非難されているとおり、この記事の元になった論文が、そもそも科学の成果としては学部生のレベルにすら達していない素人のものであり、たいていの医療や心理学の実験で採用される対称群も使わず、実験の結果も非常に限定的であり、殆ど何にも結論が言えない。しかも、その論文を元にしたと称する上の記事で言及されている先行研究などのソースが不明であり、Hacker News のコメントと同じく、僕もこの記事は「AIスロップ」であり、元の論文を生成 AI に読み込ませて推敲もせずにそのまま公開しているだけのゴミくずだと思う。