Scribble at 2020-10-21 11:33:27 Last modified: 2020-10-21 11:34:57

いまどき「平均値」とか「中央値」で歳出の分配や福祉を語ること自体が、わざとやってるとしか思えない不正な議論だと思う。もうこんなのは中学の数学だから繰り返す必要など感じないのだが、平均値とは全ての値を合計して総数で割ったものだ。そして中央値は全ての値を並べた真ん中の値のことである。よって、10人のサラリーマンについて、9人が年収1,500万円、残りの1人が年収500万円である場合、平均値は1,400万円で、中央値は値が偶数なら双方の平均をとればいいから1,000万円だ。ここで、平均値でも中央値でも1,000万円を超えるから、これら10人はひっくるめると金持ちなので何の優遇措置も必要ないと判断すると、マイノリティに限って不当な扱いを受けることになるのは誰でもわかるだろう。

これほど丁寧に説明しなくとも、多くの人々は NHK のニューズ番組に登場する多くの「平均的な」家庭と称するものが、はっきり言って上場企業の役職者レベルを指していることくらい実感として知っている筈である。いわく、23区内に持ち家を持っていて、子供が2人とも私立大学に通って、老後の蓄えだの退職金だの(殆どの中小企業には退職金制度などない)、これから NISA だ外貨預金だと資産運用について大手都市銀行の FP に相談することを検討しているとか、テレビ・コマーシャルに出てくるセレブのようなものが NHK の描く「平均的なサラリーマン家庭」なり「ごく普通の日本人」であるらしい。おまけに NHK なら、多くのディレクターは無自覚に「東大卒」という属性も平均的な学歴として想定しているかもしれない。

なんでああした漫画的なとも言いうる思い込みがまかり通っているのかは、実際のところよくわからない。彼らが取材する「サラリーマン」の典型は、新橋あたりで21時頃に酔っぱらいながら街路をうろつきアンケートに答える人々ということだろうから、NHK の職員から見れば野卑な印象があるのかもしれないが、あれでも新橋あたりで働いているのだから、富士通、電通、日本テレビ、共同通信といった大企業の人員かもしれない。いや、そこまでいかずとも山手線の内側にある雑多な中小企業の社員かもしれないが、港区のテナントビルに入れている時点で、他の地域にある大多数の中小企業とは財務状況がまるで違うだろう。

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