Scribble at 2023-12-05 16:30:47 Last modified: 2023-12-06 15:49:58
あいかわらず引き締まった議論を提供してくれる。文章そのものは、一文ずつ1行空けて書くような東アジアのサルが殴り書きするブログ記事に比べたら長いのだろうけど、個々の論点は必要最低限のステップで展開されている。参考文献が列挙されているわけでもなく、論説としての体裁や文体はインフォーマルだが、少し手を入れたら、日本なんていう文化的後進国の大学生が書く卒業論文なんて足元にも及ばない水準の議論だ。僕は、哲学者としては白熱教室おじさんなんて全くハーヴァードで教えるに値しないと思っているが(だいたい、科学哲学・分析哲学の元ドクターとして言わせてもらえば、この人の論文なんて英米系の学術誌で名前を見たことが殆どないんだよな。この人、哲学者として何の業績があるの? NHK に出演したとかか?)、情報セキュリティの実務家としてはシュナイアーはさすがにハーヴァードで教えているだけのことはあると思う。
[追記:2023-12-06] ただ、シュナイアーが所属するケネディ・スクールには次のような話題もある。
https://www.theguardian.com/technology/2023/dec/04/facebook-harvard-joan-donovan
もちろん、これが事実だとしてシュナイアーのような情報セキュリティの専門家が義侠心だけでケネディ・スクールの席を放り出すべきかどうかは分からないが、こういうことがありながら、さて世界的な情報セキュリティの権威はどういう感想を持つのかという興味はあるな。