Scribble at 2025-12-23 18:30:00 Last modified: 2025-12-24 07:47:43

企業で教育・研修を担当している一人として、僕は IT あるいはネット・ビジネス関連のメディアに掲載される、「どこそこの企業では、こういう施策、とりわけ教育や研修で成果を上げている」といった類の記事を、ほぼ無視している。これは日本に限らず多くの国のメディアが、掲載している記事を広告なのか報道なのか区別できておらず、区別しようとも思っていないからであり、実質的には何らかの広告や宣伝にすぎないという理由からだ。

もちろん、個別に見ていけば参考になる内容や事例もあろう。そういう意味では乱暴な予断であり、場合によっては偏見なのかもしれないが、企業でビジネスの現場を預かる一人として、僕はそういう「防衛的な予断」というものの効用を知っているし、それが何らかの差別に該当する不当な判断でない限り、役職者というものはそういう予断を一定の見識・経験・基準にもとづいて、逆にもたなくてはいけないとすら思う。なぜなら、ビジネスというものは基本的に相手がある活動であって、相手はこちらの事情など考慮したり差し引いてはくれないからだ。或る意味では時間が重大な要素であるからして、役職者が一般の従業員よりも多くの報酬や色々な決定権を持っているのは、それぞれに応じて素早くものごとを決める役割(つまりは責任)があるからなのだ。よって、仕事ができない役職者の条件の一つとして、「決断が遅い」ということを数えて良い。もちろんだが、そこには判断の誤りもあるわけだが、決断が早いと生じた結果に対するリカバリーも早くできる。決断が遅いと、そんなサラリーマンに上級も下級もあるまいし、たいていは似たような資質しかないわけだし、間違うリスクが同じ程度であればリカバーするチャンスが遅れる。それは、ものごとをいたずらに悪化させるだけだ。

当然だが、決断が早ければそれだけで良いというわけではない。単なる思い込みや無軌道なカウボーイ・マネジメントなど、単なる無能のやることであり、そもそもそういう馬鹿を部長や主任にする人事こそ間違っている。しかるに、間違えても次の一手をすぐ打てるように、「これが駄目なら次はこれ」という選択肢の幅や数も問われる。そのために有効なのは、明らかに知識や経験であって、僕らが社内で絶大な技術者としての地位を築いているのは、単に学歴が飛び抜けているとかイケメンだからではなく、数多くの失敗をしてリカバーしてきたという経験があるからなのである(ちなみに、外来語であっても名詞と動詞を使い分けるようにしないと、いざ英語で "recover" や "recovery" を使い分けられなくなるよ)。

だが、冒頭で紹介したような、大企業の情シスなどが語る「成功経験」などは、はっきり言って大塚商会や都内の出入り業者や SIer が提案した高額なアプライアンスやオンライン・アプリケーションを導入したというだけの経験談にすぎず、そこには予算、それから業者が示す出来レースの選択肢から何かを選ぶという子供みたいな分析や判断しか無い。中小零細企業ではあっても、僕らのようなレベルの部長職が参考にするようなことなど、なんにもないのである。なんなら、あいつら IT サービスや高額な機器を導入してる国家官僚や大手企業の情シス部長なんて連中は、出入り業者やコンサルの接待を受けて、キャバ嬢の中から誰を「お持ち帰り」するかの品定めの方にこそ、多くの神経を使っていることだろう。ああしたカスどもがメディアで何を語っていようと、われわれ真の IT 人材が学ぶことなどない。

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