Scribble at 2023-07-19 09:34:51 Last modified: unmodified
先日から Oxford University Press でホストされている哲学系の学術雑誌で、オープン・アクセスやフリーの論文を物色している。生命倫理学の雑誌に掲載されるならともかく、Mind のような雑誌で「障害」についての論文が掲載されるのは非常に珍しく、そしてとても良いことだと思う。
正直、生命倫理系の雑誌に掲載される身体障害者や障害に関する論文の多くは、結論とまではいかなくても執筆の動機にあからさまな社会正義だとか左翼的な熱意だとか、ともかく議論として前のめりになっているものが多く見受けられ、テーマがテーマだけに批評するのも憚られる(「せっかく『いいこと』を議論しているというのに、水を差すのか、おまえたちは!」みたいな、宗教的あるいは思い上がった道義的な恫喝は西洋人もやる)だけにウンザリさせられることが多々ある。
こうして、(分析哲学という偏りはあるが)哲学の一般的な学術雑誌に掲載されるレベルの論文が障害や福祉について出てくるのは、それだけまともで冷静な人々が関わるようになってきている証拠だと言えよう(正直、障害だ病気だ命だとセンチメンタルなアプローチをしていれば無能でも関われるのが生命倫理なので、あの分野は生活に困らない資産家の子息といった無能な研究者の巣窟というのが僕の実感だ)。