Scribble at 2023-05-19 21:03:18 Last modified: 2023-05-19 21:07:34

添付画像

『英語らしく訳すための和英翻訳表現辞典』(ジャパンタイムズ/編、ジャパンタイムズ、1988)

本書は Japan Times の編集部が使っているらしい言い回しを集めたもので、日本語で理解している表現を英語の言い回しとしてどう記すかが分かる。そういう意味では一つめの参考になる、良い本だと言える。あと、和製英語を改めるためのヒントも書かれている(「綴り」を "spell" なんて書いても駄目で、"spelling" と書かなくてはいけない。"spell" だけだと、「呪文」という意味になる)。

しかし、或る程度は英語の文章に慣れ親しんでくると、別の意味でも参考になる。少なくとも僕の英語の感覚なのだが、はっきり言って本書には「くそつまんねぇ言い方」ばかりが延々と集められている印象があるのだ。英字新聞を編集するには的確な表現が集められているのだろう。それはわかる。日本語に置き換えて考えてみても、NHK の「というかたちの~」なる奇怪な日本語の多用だとか、1日に1度は必ず「浮彫り」と言わなければ原稿を書いているスタッフが譴責処分を受ける内規があるのではないかとすら思える語彙の貧弱さについて気づいている方なら、それを英語に置き換えたときのウンザリするような印象を理解できるだろう。この辞典に集められているのは、そういう英語の言い回しとしては参考になるが、あまり僕自身の文章には使いたくない表現が山と集められている。

よって、英語としての言い回しの参考にはしても、実際に文章を書いたり話すときは避けた方がいい表現を集めた事例集だと思った方がいいと思う。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook