2018年12月30日に初出の投稿

Last modified: 2018-12-30

阿満利麿という研究者が『人はなぜ宗教を必要とするのか』(ちくま新書)という本を書いていて、冒頭で「創唱宗教」と「自然宗教」の区別を説明している。説明を読むと、前者は制度宗教のことであり、後者は民間宗教のことだという。そして、「自然宗教」を山や海の信仰だと誤解する人が多かったと嘆いているのだが、僕には不可解な印象しかない。なぜなら、その後の文章を読んでみても、彼が民間宗教をわざわざ「自然」宗教と名づけていることで、どういう効力があるのかまるで分からないからだ。こういうのは、卒論や修士論文の指導でも「立論に効力がない」と添削されるようなレベルの話ではないのか。つまり、何か独特な言い回しを使い始めただけで独自の業績を成し遂げているかのような自己欺瞞に陥る学生ないし学者の典型のように思える。

そう考えると、この方はちくま学芸文庫から浄土宗・浄土真宗にかかわりの深い経典や文書を幾つか翻訳されているのだが、スタンスとして信用していいものかどうか、このような通俗書の内容からだけでも疑わしくなってくる。はっきり言うと、哲学の古典にも言えることだが、単に新訳を出版して言い方を代えるだけでは学術的な業績とは言えないのである。そんなことで業績になるくらいなら、それこそ日本のメディアで記事を書いている、コピペが得意な「ジャーナリスト」とか「ライター」と呼ばれる連中に任せておけばよろしいという話になるからだ。

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