Scribble at 2022-04-17 10:48:01 Last modified: 2022-04-17 11:30:03

Shirky.com is gone (archive.org)

日本でも何冊かの著作が翻訳されている、クレイ・シャーキーという著述家あるいは講演者の shirky.com というサイトが何年も前から閉鎖されているという話題なのだが、こんなのクレイについて知りたいと思って調べた人なら誰でも知ってることだ。僕もこれは5年以上は前に既に知っていたし、本人が Twitter でもその理由を書いていないのを知っていた(それどころか Twitter の自分自身のプロフィールすら、当時彼は自分で見ておらず修正もしてなかった。いまはちゃんと shirky.com へのリンクは削除されている)。

いまでも、彼がサイトを閉じた理由は分からないが、僕は(分からないまでも)そういう判断を支持する用意が僕なりの理由である。それは、簡単に言えばオンラインのウェブ・ページや動画なんてものは、コンテンツとしては誰かのコンピュータにダウンロードされて今後も利用される可能性はあるものの、URI としては全く永続性どころか数十年の持続性すら怪しい刹那的とも言えるリソースでしかないからだ。PHILSCI.INFO でも書いたように、ウェブで公開されているブログ記事や論文の URI なんて、単独で学術研究の典拠表記としては採用してはいけないものである。それがたとえ Elsevier や Nature や Springer から発行されている学術論文の DOI だろうと、DOI から目的のリソースに変換するデータベースへ各事業者や著者が URI を登録したり、それから DOI として変換するというサービスの持続性も、たとえ個人や営利企業や大学ではなく国家や国際機関がサポートしていようと、安定しているとは言い難い。しょせん、メディアとしてやりとりされるコンテンツとしての〈成果〉とか〈業績〉というものは、そのていどの持続性しかない、政治的・経済的・社会的な資産なのである。人類が人種やイデオロギーや経済的な力や個人的な事情などによらず、将来にわたって受け継ぐべき価値をもつ何かなどではない。いや、そういう「何か」だと想定されている大宗教の聖典、コーランや聖書や法華経ですら1,000年後に残っている保証などないのである。

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