Scribble at 2024-08-05 10:37:24 Last modified: unmodified
「インターネットは核戦争で国内の施設が破壊されても通信網を維持するために発明された」という、まことしやかな話が出回っていて、いまだにこれを「インターネットの歴史」などという文章でひけらかしている無教養な人物がジャーナリストや物書きにもいる。僕らは、まさしく「インターネットの父」と呼ばれるヴィントン・サーフ(ちなみに彼は聴覚障害者である)がこの誤解を打ち消そうとして何度も発言しているのを知っているが、不勉強な人々は何の確認も下調べもせずに、WELQ バイトと同じくコタツ記事も同然の文章を書いて恥知らずにも「ITジャーナリスト」だの「テクニカル・ライター」などと名乗っている。
もちろん、多くの方はご承知のように、このような出鱈目が広まったのは、或るジャーナリストが幾つかの出来事を時系列では正しく並べておきながら、それらに因果関係があったかのように錯覚した記事を書いたからであった。敢えて名前を出しておくが、ポール・ベラン(Paul Baran)という人物こそ、この出鱈目を広めた張本人とされている。ただ、彼にはおそらく(左翼的な?)ミスリードの悪意はなかったと思われ、したがって理由はなく、原因として彼のジャーナリストとしての無能が指摘できるだけであろう。
こういう事例を見ていても分かるように、いまでも AI の「幻覚(ハルシネーション)」が話題となっているが、AI だけでなく(いくらか劣った)知性の人間でも、こうして本来は無関係な情報を勝手につなげて一つのストーリーに仕立て上げてしまうという間違いを犯す。インターネットの起源という誤解は一つの良い事例となるが、これも正しく指摘して教える必要があって、やはりそのためにも一定の見識がジャーナリストや教師にも求められるし、自分が伝えたり教えることについて調べる時間を確保する待遇の向上も必要であろう。学校教師なんて、参考書を執筆するような私学の進学校の教員を除けば、殆ど自分で下調べする余裕などないであろう。