Scribble at 2021-09-29 12:08:20 Last modified: 2021-09-29 14:22:54

添付画像

自分の時間

訳書が出てから何度か装丁は変わっているため、僕が持っているのは上記の画像で示している装丁の版だ。なんにしても、内容は殆ど同じだろう。ただ、訳した渡部昇一氏が「一部再編集を施してある」と記しているため、原文とは違いがあるかもしれない。もし原文を対照したい場合は、本書の原著は既にパブリック・ドメインとして Project Gutenberg に収録されているため、自由に比較できる。実際、表面的なところであれば即座に分かるとおり、段落の分け方などが原文と違っていることに気づく筈だ。

https://www.gutenberg.org/ebooks/2274

さて内容だが、今で言う time management の本と言えばお分かりだと思う。そして、ざっと目を通した限りでは、冒頭の第1章か第2章まで読めば十分である。そこから後は著者の価値観による応用と言ってもいいし、文学作品を読むべきか、読むなら小説なのか詩なのかという、はっきり言って些事としか思えない文章が続くだけだからだ。しかし、time management の本として読むときに肝要なのは、これも今の流行語で言えば mind set なのであって、自分の人生なり時間について動かしようがない事実に正直に向き合うことから色々な指針や生活態度を決めたり変えることだけが重要である。何か自分にとって大切なことをするために、通勤時間で列車に乗っているあいだを利用するべきかどうかなんて、どうでもいい話である。

なお、この訳書を発行している三笠書房の方針なのかどうかは知らないが、本書は奥付に印刷・発行の年月日や版数、刷数の記載がない。1933年に創業した出版社が奥付に記載する項目のフォーマットを編集者に使わせていないなんてありえないはずだが(機械的に当てはめるフォーマットさえあれば、アホでもこんな間違いはしない)。もちろん、奥付の記載内容は出版物の法的な要件ではなく、奥付そのものもなくたっていいので、発行年を記載しようとしなかろうと出版社の任意ではあるが(かつて明治時代に施行されて戦後に廃止された出版法という法令では記載が義務だった)、学術的な典拠表記においては重要な情報として使われるため、そういう用途など軽視しているのだろう。もちろん、学術的な目的で引用したり何かの議論の典拠にするほどの価値もない「読み物」の類だとは思うがね。いまなら、この程度のエッセイはブログにでも書いておけという気がする。

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