Scribble at 2024-12-19 13:48:13 Last modified: 2024-12-19 13:51:58

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3D Model of Tokyo

連れ合いに紹介されて眺めてみた。パソコンでは非常に重いが、iPhone では快適に表示して操作できるという妙な設計の 3D ビューアであるな。動かしているプログラムのソース・コードも GitHub で公開されている。

もちろん、これから色々な用途が考えられるし応用されていくのだろうとは思うが、地図全般に言えることとして、地図のデータは絶対に古いという事実を弁える必要がある。誰かが常に更新してくれない限り、地図に描かれている地形だろうと建物だろうと住んでる住人が誰であろうと、正確さは保証できない。なので、そういう正確さを前提にした用途では使えないわけで、それゆえ自治体の避難地図や被害予想図にしても、丁寧に更新したり見直さない限り、いざというときに役立ってはくれないわけである。

そして、これは 3D だが、そもそも地図情報なんてものは、それこそ東北の震災が起きたときでも通行できない道路の情報を Google Maps で表示するようなプロジェクトがあったように、10年以上も前から広く利用できているのだけど、なかなか公に利用できる用途としては有名なものがない。

理由は幾つかあるが、最も大きな理由は膨大なデータを処理して地図を活用するには、マシン・パワーや人手がいる。つまりは金がいるわけで、企業や官公庁が地図データを使ってなにかしていたとしても、そんなコストをかけたプロジェクトの成果をおいそれと公開なんてするわけがない。たとえば、自動車会社は当然のように全国の道路の情報を独自に調査して持っているわけだが、そんなデータを公表するわけがないのである。また、運送会社も半世紀以上前から情報処理の子会社とかに全国の道路のデータを集めさせて運用しているわけだが、そういうデータも公表したりしない。また、そういう地図や道路や用途に関わる人文地理情報はマーケティングにおいても有用だが、仮にマーケティングを目的として集められているデータがあったとしても公表する会社なんてないだろう。公表されていないものは、たとえどれほど膨大なデータを駆使する高度なシステムなり、そのシステムから得ている成果があろうと、決して「有名」になったりはしないわけである。

そして第二に、この国は簡単に言えば高校までに地理に関する知識を殆ど教えない。高校ではたいていの生徒が大学受験の科目としてスルーするし(要するに単純な暗記科目なので、競争相手との差がつけにくい)、大学でも教養課程で地理の科目は少ない。なので、成人であっても地理に関わる知識が乏しいわけである。そのかわりにテレビ局などが熱心に制作して放映する、愚にもつかない芸能人の紀行番組だとか、芸人が各地で飯を食ったり温泉に入りながら喋るだけの番組だとか、あるいは各地の名産や習慣を取り上げては笑いのネタにするという、実は巧妙に部落差別や在日朝鮮人差別や女性差別や宗旨差別に関わるネタを避けながら(しかし結局は田舎を差別しているに等しい場合もある)放映している番組とかが流行っているが、あんなものは地理の知識でもなんでもないのだ。たとえば、青森でりんごがたくさん栽培されているのは「なぜなのか」(昼夜の寒暖差が激しくて夏季に涼しい地域でなければ栽培できないなど)を理解しない限り、青森でりんごがたくさん取れるという単純なデータを記憶しているだけでは、はっきり言って生成 AI 以下の知性というものだ。だが、この国では、この手の「東大クイズ王」的なデータの蓄積が知識だと勘違いされており、その元凶はデータを蓄積するしか能が無いマスコミの連中が、こういう蓄積だけの、いわゆる東大生を頂点とする暗記だけが得意な人々を「知識」の頂点にいるかのように視聴者を錯覚させてきたという経緯があるからではないかと思う。

何にせよ、そういうわけでデータやソフトウェアがいくらあっても、地理についての見識がないのだから応用する目的を思いつく人が少なくて、何年も前からデータやソフトは公開されているのに、碌な用途を思いつく人がいなくて、プロジェクトとしても継続性がないわけである。全国の規模となると、個人ではとてもまかないきれないため、せいぜい自分が住んでいる地域のセコい用途だったりするのが関の山で、そういう中学生の自由研究レベルのことしかやっていないわけだ。上の事例も、確かに東京都の膨大な情報を使ってはいるだろうし、公表もされていて色々なことに使えるかもしれないが、使えるかもしれないからというだけで使えることにはならない。

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