Scribble at 2021-04-09 09:15:39 Last modified: unmodified

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Workona

或るブログ記事で紹介されていたのを見つけてサイン・アップしてみた。ブラウザ内で複数のリソースを扱えるなら便利かもしれないなと思ったのだが、実際に使ってみたらブックマーク(タブ)管理ソフトだった。これに、メモやタスクの管理機能を追加したものというのが僕の理解で、これだと今の業務環境から移行するのは難しい。既に Google Keep や Microsoft To-Do を運用していて、ブックマークはオリジナルのスタート・ページを自前でコーディングしているため、これをまた一から別のサービスで作り直したり、あるいは全く同じタスクを複数のタスク管理サービスへ登録するのは、バックアップが目的でもない限りは愚の骨頂というものであろう。

もちろん、メモは Google Keep が最善とは限らないし、タスク管理も Microsoft To-Do が最適かどうかは分からない。そんなことは誰にもわからないのだ。それを青い鳥のように延々と探し求めたり、あるいは浅薄な理解の UNIX Philosophy よろしく自分で作ればいいじゃないというノリで道具を揃えることにばかり時間を使うというのは、はっきり言ってたいていの凡人にとっては時間の無駄である。最適な道具を探すのに費やす金銭や労力や時間、そしてそれまでに用意した設定を新しい環境へ移すのに使った時間や労力の総数を差し引いた状態で、既存の道具で達成したタスクを挽回し、なおかつその達成点を追い越して先へ進むのに要する時間は、恐らく既存の道具を(不十分ではあっても)使い慣れてきて効率が上がる時間と比べて、大して違いはない。つまり、よほど生産性が向上するか学習曲線として効率的に使い方を十分なレベルへ達するまで短期間で覚えられるサービスが偶然にリリースされでもしない限りは、サービスを乗り換えると乗り換えるのに費やした時間だけ、生産性が落ちるのである。手持ちの道具を十分に使えるよう、仕事や生活で使って習得する方がよい。それゆえ、初手が大切なのであって、大局的に見て大して違いのないサービスでも長期に渡って使うあいだに、自分が選んだサービス上で小さな問題が積み重なって大きな障害とならないような原則をもっておくことが望ましいのである。そして、そういう原則として最も手堅く、また大抵の場合に適切と言えるのは、やはり大手のサービスを使うことだ。

なお、大手のサービスは個人データを引っこ抜かれてどうのこうのと言う人もいるが、零細ベンチャーだからエンドユーザの個人データを適切に保護しているのかと言われて、そんなことを企業の業務エリアやデータ・センターへ立ち入り検査したり、あるいは調べもしないで思弁だけで論証できる情報セキュリティの実務家などいない。実際に企業で個人データの取り扱いに関わっている人間として言えば、実態は全くの逆であり、中小零細の個人情報の管理など、プライバシーマークを持っていようがいまいがクソである。プライバシーマークの監査をパスするていどの帳票の捏造など、はっきり言って監査の数日前に始めても事足りるくらい簡単なのだ。逆に言えば、そのていどの管理・運用コストしかかからない帳票類を整備して運用できない事業者なんて、他人の個人情報を扱う資格など本当はないのである。これは、何も僕が中小零細企業規模として別格のスキルや知識をもつ Chief Privacy Officer だから簡単なのではなく、真面目に仕事をする気があるなら、たいていの人にとっても簡単なのだ。本当に難しいのは、自社の業務や事業に最適化しつつ個人の権利を保護するルールを作って実質的にルールを遵守するよう全社に〈実装〉することなのである。紙の上の話なんて誰でもできる。PMS の本義である「マネジメント」は、紙の管理の話などではなく、同じ凡人である経営者や従業員に他人の権利を適正に保護してもらうような業務環境を整備し維持したり向上させることにある。

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