Scribble at 2026-02-25 17:25:10 Last modified: 2026-02-25 18:02:34
食品成分表というのは、実際に手にとってみると興味深い資料で、およそ食事をしない人はいないのだから、こういうものも国語辞典などと同様に家庭の必需品としてよい著作物だろうと思う。もちろん、いまでは色々な機能を追加したスマートフォンのアプリケーションがリリースされていて利用できるのだが、しょせん電気がなければ無意味なアプリだけに生活を依存するのは軽率であろう。たとえスマートフォンのアプリを使っていても、こういう資料は手元に書籍として常備するのが賢明だ。ちなみに、僕は上の「2024年版」を所持している。食品成分表の内容は、「日本食品標準成分表」という5年毎に更新される値を使って編集されているから、実際には5年毎に買い替えたらいいのだ。
さて、この成分表には、それぞれの食品について詳細な値が掲載されている。色々と説明するポイントはあるから、一つだけご紹介しておくと、まず注目するべきなのはエネルギー(kcal)だ。これは「可食部」についての値なのだが、前回5年前の値とかなり異なる食品が多いことに気づく。場合によっては乾燥した舞茸のように、2015年の 181 kcal から2020年の 273 kcal と、値が 1.5 倍も変わってしまう例もある。これは、2020年からエネルギーの算出方法が変わったためらしく、エネルギーを算定するための要素が増えているために、大半の品目でエネルギーの値が増えている。そして、気をつけたいのは、同じく2020年に公表された「日本人の食事摂取基準」という厚生労働省の資料にも食品ごとのエネルギーが掲載されているのだが、こちらは2015年までに使われていた古い算定方法で値が記載されており、同じ2020年に公表された食品成分の値でも算定方法が違っているということだ。
これは、『日本人の食事摂取基準』という別の冊子があって、これも5年毎に公表される厚生労働省の資料を幾つかの出版社が独自に編集したものが販売されている。僕はこれの2025年版を持っているので、ここには2020年になって食品成分表のエネルギー算定方法が変わったという事実が(少なくとも議論の前提としては)考慮されるようになっている。ただし、それが摂取基準にどう反映されているのかは非常に分かりにくい。思うに、これはそれぞれのデータを集めて評価し文書として公表している組織どうしの縄張り意識や牽制関係があって、事実は事実として紹介しても、他方に頼るような書き方をすると「負け」だと思っているからなのだろう。国民の食生活や健康という重大なテーマについてすら、こういう器量の人々が集まっているのであるから、なんとも不安なものだが、これ以外に大規模な調査にもとづく資料はないため、ある程度は仕方のないことだと割り切るしかないのだろう。もちろん、この程度のことで、どれほど有名であろうと個人の調査結果を考慮したり、あるいは「専門家」を自称するだけの愚か者(残念ながら医者や管理栄養士などには、安っぽい正義感だけでものを書く無自覚な事実上の詐欺師が多い)が独自に発表している方を頼るような愚行は慎むべきである。