Scribble at 2024-10-05 23:18:04 Last modified: 2024-10-05 23:27:42
【誤り】近年、無期懲役の受刑者で仮釈放が許可される人数は非常に少なくなっており、刑務所で最期を迎える受刑者の方が多い。
この記事は2019年のものだが、まずこういう記事を読むと「えっ、何人かは刑務所から出るのか。それ、危ないだろう」と思う人がいるだろう。なぜなら、「無期懲役」を課されたような重大あるいは凶悪犯罪者を、ふたたび野放しにするなんてマトモな社会政策とは思えないからだ。そもそも無期限に懲役を科している者を出所させるのは矛盾しているだろう・・・しかし、「無期懲役」というのは、実は終身刑のことではなく、一定の条件で保護観察を受ける前提で刑務所から出てくる場合もあるのだ。したがって、これは法的には矛盾した措置ではない。
ただ、こう説明しても更に不安を覚える人はいるだろう。実際、保護観察中の者が再び犯罪を起こすリスクは常にあるわけで、どれほど上のような記事で少ないと書いていようと、一人でも出所させるなんて意味がわからないというわけである。これも、多くの国では「更生」という思想があるため、一定の条件を満たせば出所させるという措置を取ることが望ましいと考える人々がいるからだ。僕は学部時代に刑事法学を専攻していて、「社会防衛論」という学説を支持していたので、冤罪を防ぐことも同じくらい重要だが、ひとたび刑を執行すると決めた者に対しては、どういう理由があっても刑を軽減するような措置をとるべきではないと思う。したがって、僕は寧ろ「無期懲役」を多くの人が誤解しているはずの「終身刑」として執行するのがよいという意見だ。
ここ最近は、どういうわけか更生あるいは刑の軽減を前提にした「人道的社会防衛論」などという妄言を盛んに論じている学者や実務家もいるらしいが、そういう矛盾した発想は世の中を簡単に混乱させるだけだ。つまるところそういう意見は、刑罰という制度そのものが法や国家による暴力であり「制度化された人権侵害」であるという、刑罰のアポリアと言ってもいいような話題を無視して、単純に善人ぶった仲良し社会を思い描いているだけの、子供の発想にすぎない。
もちろんだが、僕は刑の執行が終わって出所した人々の復帰を拒んだり、あるいは必要以上に前科のある人を差別するような思想には加担しない。教育・育児などの業界から性犯罪者を締め出すことは正しいが、かつて幼女を強姦した人間が IT 企業の社長となったりアイスクリーム屋を営んで悪いわけがない。そういうことと、殺人を起こして出所した人間を大半の企業が雇用しないという差別の正当性とを同じステージで議論してはいけないというだけのことである。