Scribble at 2026-07-15 13:58:59 Last modified: 2026-07-15 14:13:57

添付画像

近年はさまざまな書籍をオンラインで注文できるようになったため、読書家の中にも「リアル書店が閉店してもオンラインで注文すれば問題ない」「棚が限られているリアル書店よりも無制限のラインナップをそろえたオンライン書店の方が便利」と考える人もいるかもしれません。しかし、ドイツの書店数や書籍販売数について調べた研究では、実店舗の書店が閉店すると本の販売数が減ってしまうため、オンライン書店はリアル書店を代替するものではないとの結果が示されています。

オンライン書店はリアル書店を完全に代替するものではない、実店舗が閉店すると本の販売数は減少する

ジュンク堂のような実店舗が Amazon のような EC サイトと異なる点は、記事の中で紹介されているように、

・ロジスティクス

・在庫量

・所蔵タイトル

・中身の見分しやすさ

・購入前の情報

といった点がある。もちろん、僕が普段から利用しているジュンク堂と Amazon を比べると、在庫量と所蔵タイトルは Amazon が圧倒的に多いのは明白だ。しかし、ロジスティクスについては状況によって優劣が異なる。Amazon では古本を買うこともあって、その場合は到着までに1週間以上もかかることがあるからだ。また以前の落書きで話題にした聖書のように、よほど欲しいのであれば、思い立ったら即座に出かけて購入すれば Amazon で注文するよりも速く手に入る。一概に EC サイトを利用する方がどういう条件でも早く手に入るとは限らないのだ。

中身の見分についても、書店で実物を手に取る方が全てのページを確認できるから、せいぜい一部しか確認できない(いや最近は「中身確認」の機能すら提供されなくなった)Amazon よりも実店舗の方が有利なのかといえば、これもまた書籍のジャンルによって違うはずだ。僕はひとまず恥ずかしいので書店で手に取ったことはないが、アイドルの写真集などは全てビニールで包装してあるだろうし、手に取ることが恥ずかしくない部類のジャンルでも中身が分からない書籍はある(漫画の単行本や雑誌なども、コンビニエンス・ストアで配架されている状況のようにテーピングしてある場合も多い)。

そして購入前の情報については、僕は書店内で掲げられているポップを無視する習慣がある(要するに、店員が勝手にお勧めしているのであろうと、しょせんは売る側の都合で売りたい商品を宣伝しているにすぎないからだ)ので、購入する前の情報は実物を検分して分かること以外はゼロだ。これに対して、Amazon ではカスタマー・レビューにひとまず目を通すようにしている。もちろん、★が少ないから買わないという判断は殆どしない。偉そうなことを言うようだが、いちおう国公立大学の博士課程にまで進んだような学識の人間として、それから理数系、人文系、社会系と広範な分野を学んできた哲学(科学哲学)の研究者として、どんな本がゴミであるかは見当がつくし、自分はうまくゴミを排除してきたという自負がある。しかしそうは言っても、一定の金額を捻出するほどの意味はなかったというコスト・パフォーマンスについては事前評価の間違いはある。これは、いくら何でも認めなくては本当に傲慢というものだ。したがって、少なくともレビューで本当に読んだ上で書いている人だと判断できる人物の文章は参考にしている(かつて読まずに批評する方法とかいう漫画あるいは評論があったようだが、いまでは生成 AI で本当に1行も読んでないやつがレビューをせっせと投稿し、どさくさで自分の妄想やブログの URL などを宣伝していたりする。もちろん、書籍の内容と無関係な自己主張を長文で投稿している事例なども含めて、そういう迷惑は人々は Amazon に通報している)。

こういった色々な違いはあるが、僕は実店舗が EC サイトと大きく違っている(良し悪しは判断しかねる)他の特徴として、配架とか陳列の様子、つまりは本の並び方を指摘したい。そして、僕自身は敢えて実店舗の書店で並べられている本の様子を眺めることに一定の価値があると思っている。それは、バラバラであること、つまり無意味な並び方をしていることだ。EC サイトのように何らかのアルゴリズムでとにもかくにも順番に並ぶということしかできないのと比べれば、実店舗の配架は入荷したときに梱包されていた並び方とか、あるいは書籍の判型という単純な理由で並べられており、書店員が全ての配架について ISBN や著者の名前という一定の規則に沿って本を並べているわけではないというのが、逆に偶然に本を見つけるという面白さを生み出しているのだ(もちろん実店舗においても、文庫のように著者の氏名順だとか、新書のように出版社別の発行順といった規則的な並べ方をしている書籍もある)。

これに比べると、Amazon の商品リストは並べ方に制約があるし、そもそも登録されている書籍のデータに間違いが多いからか、書籍がソートの条件に全く合っていない並び方をすることも多い。これに加えて、例の「スポンサー」という表示が付いたゴミのような本の広告が頻繁に挟まるので、まるでお好み焼き屋でモダン焼きを食おうとしているときに、目の前で酔っ払いにゲロを吐かれるようなものだ。

ちなみに、僕は大量の電子書籍や PDF の論文を所蔵しているので、閲覧用に iPad を購入したくらいなのだが、自分で購入した電子書籍というのは殆どない。数学のテキストなんて、英語でさえ読めたら幾らでも無料で研究者が公開してくれているし、オープン・アクセスの書籍も出版社から続々と出ている。もちろん、オープン・アクセスの論文だって膨大にあるし、いまではオープン・アクセスを前提にした学術研究者のオンライン・ジャーナルも多い。そういうものだけで、既に個人が処理しきれない分量だ。わざわざ買ってまで読む電子書籍なんて殆どないし、どのみち買うなら紙の書籍である。iPad はいちいち起動したり充電しないといけないが、紙は手元にあれば即座に読めるという圧倒的なアクセスしやすさがある。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る