Scribble at 2020-06-30 10:31:42 Last modified: 2020-07-07 11:52:15
先月から Twitter では「日本人は "institutional" または "systemic" なレイシズムを理解しておらず云々」という、安物の出羽守たちがまるで黒人の代弁者であるかのように下らない指摘を続けている。だが、丁寧に見ていけばわかるように、かような指摘をする人々の大半が、"institutional" なり "systemic" という言葉の意味合いを説明もしないし、警察が暴行しているといった事例を除く具体的な事例を全く紹介もしない。要するに、そういう人たちも(社会科学の素養がないならなおさら)わかっていないのである。
もとより、"institutional" であれ "systemic" であれ、そんなことが簡単に分かるなら苦労はしない。黒人の人権という話題でなくとも、われわれは日ごろから「システム」という言葉を杜撰に、そして気軽に使っているが、それが何のことなのかは全く理解していない筈である。弊社のようなネット・ベンチャーでは、おおよそ「パソコンがやること」とか「自分が知らないこと」という意味で「システム」という言葉が使われているらしく、そういう実情はどこでも大差ないだろう。しかし、重要なことは、われわれのように企画、設計、開発、運用の知識も経験もスキルもあるような人材ですら、本当のところ「システム」とは何なのか答えるのに困るということだ。もちろん、素養を持たない人が答えられないのとは次元が違う。
そして、社会科学という脈絡では違う意味合いがあるし、開発などとも共通する特徴を議論するには、やはりどうしても哲学的な観点や思考(言っておくが、哲学の教科書を読んだり大学でプラトンを研究すればわかるというものではない。教えられなくてもヤンキーの兄ちゃんが哲学的に思考する場合もあるし、東大の哲学科教授が全くできていないこともある)が必要となる。