Scribble at 2022-07-01 18:05:17 Last modified: 2022-07-05 11:01:22

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「2021年の言葉と世相を記録する」ことばの年鑑として、世相、流行、政治、経済、激動の世界情勢などさまざまなテーマと視点で、忘れたくないあれこれを硬軟織り交ぜて記録しています。

現代用語の基礎知識 2022

今日は新人のガイダンスがあって出勤していた。休憩を14時頃にいただいたとき、ジュンク堂へ行こうと思ったのだが、インデアンカレーを2週間以上も食べていないのは常連の名折れであるし、南のフェスティバル・プラザへ向かった。14時台だとアヴァンザに店があった頃でもインデアンカレーは混んでいることが多かったので、文教堂書店で暫く暇を潰していた。そのときに、前から気になっていた『七つの習慣 特装版』と、雑誌の『TRANSIT』と、『現代用語の基礎知識 2022』とを比べて、『現代用語の基礎知識 2022』を買った。他の二つも、余裕ができたら買うことにしている。余談だが、結局インデアンカレーには入らなかった。飲食店には気の毒なことだが、もう客が席数の半分近く入ってるような店には入る気がしない。昼食はフェスティバル・プラザのローソンでお握りと焼きそばサンドを買って帰り、会社のエントランス(休憩所を兼ねている)で食べた。

なお、『七つの習慣』を買おうか買うまいか選択肢へ入れること自体に奇妙な印象を持つ方がいるかもしれないので説明しよう。昨年、70冊くらいのビジネス書を読んで、『七つの習慣』も読んで感想はここで書いたのだが、いま文章を探してみたら、やはり特装版まで買おうと思っているくらい良好な印象をもったことがわかる。なので、別に『七つの習慣』を小ぶりの特装版や普及版で手元に持っておくことは、別におかしなことではない。繰り返すが、僕はビジネス書を単純に非科学的だとか通俗的だとかバカにしてはいない。バカなのは、やはり愚かな本を書いている著者であって、経営書や経営学そのものが紐解いたり学ぶに値しないクズの山だとは思わない。クズであるのは、『ティール組織』のような隠れ宗教書に代表される個々の本とか大多数の学者やコンサルであって、書籍のジャンルや学問の分野そのものがガラクタであるなどと言った覚えはない。僕がこれまで、学問分野全体がロクでもないゴミの山だと断言しているのは、たぶん教育学だけだ(大阪教育大学の付属学校に12年間も通った人間としても言える)。

たとえば、まだ復旧してはいないが昨年の落書きでは次のように書いた。

「本書の端々で語られる『主体性』や『率先力』といった表現に見て取れる強力な〈制御志向〉は、矮小な生物個体にすぎないヒトが自らを有限なる力や有限なる人生しかもてない〈何者か〉であると認めるがゆえに、強力な議論を支える原則として打ち立てられている。これはこれで、日本の安物アドラー本や自己啓発セミナーの教材などが及びもしないところがあり、なるほど長年にわたって多くの読者を得ているだけのことはあると敬服させられる。(もちろん皮肉ではない。その証拠に、僕は「嫌われる勇気」なんて哲学者としてどころか企業の部長としてすら1行たりとも読む必要を感じない。あんな本に書いてあることなど、〈大人〉になれば分かるのだ。)繰り返すが、僕は本書を読むなとも言わないし、モルモン教のパンフレットだと言っているわけでもない。個々の内容については教えられることがあって、実際に僕が生活したり仕事に取り組む際の参考にしたいところもある。色々な自己啓発本を読み流すこと自体に埋没するような暇潰しに時間や労力やお金を浪費するくらいなら、本書を手にして何度も読んで考え、自分の仕事や暮らしに当てはめてみてもらうことが望ましいとすら言える。」(2021年8月28日)

さて、実際に購入した『現代用語の基礎知識 2022』であるが、ご承知のとおり色々な事情があって判型も小さくなり、ページ数も相当に減っている。これは、同じく以前に買っていた『日本の論点』(文藝春秋)にも言えることであり、いまで言うところの年刊というスパンでのキュレーションとも言える発行物に関心や価値を置く人が減ってきたということでもあろう。でも、最新情報を次々と〈情報処理〉するだけで知見を正確に積み上げられるだけの見識や学識を最初からもっている日本人が急に増えたとは思えないので、そういう世俗の刹那的としか思えない〈情報処理〉だけを貴ぶ軽薄な傾向には何も感心しないし、情報科学にも関心を持つ科学哲学者としても言えるが、そんな世の中の趨勢には実際のところ発展性もないと思う。バカとまでは言わないが、凡人が続々と出てくる情報を見聞きするだけなら、それは要するに伝えられ発表され公開される他人の情報を雛鳥のように食い散らかしているだけであろう。雛鳥の親はたいてい本当に育つための栄養ある餌を運んでくるが、世の中に流通している「メディア」とやらの情報なんて、たいていは誰かの言ったり書いたことの単なるコピペや劣化コピペであり、要するに WELQ レベルのバイト仕事でしかない。そんなものを1億ページ読んでも、残酷なことだが見識としても情報量としても膨大なエラーとノイズと繰り返しの山でしかなく、そんなことに時間を延々と1年間ほど費やしても、たぶん『現代用語の基礎知識』を1週間で読んだ人の見識にも及ばないであろう。

バカや凡人や無能が繰り返す〈情報処理〉なんて、哲学にも言えるが、何の業績も生み出さない。完全なるゼロ加算だ。

ちなみに、子供の頃はもう少し公正な本だと思っていたのだが、いまこうして2022年度版を眺めていると、これただの左翼本だよなぁ。逆にフジサンケイ・グループが出すような本にする必要はないけれど、もうちょっとどうにかならないものだろうか。それから版面のデザインについても、冒頭に「キーパーソン」を紹介する記事があるのだけれど、緑の紙にオレンジで文字を印刷されても、ぜんぜん読めない。色盲がどうとか言う以前に、これはデザイナーとしての常識だろう。印刷されるまで文字に使ってる特色がどう出てくるか分からないというのでは、明らかに経験不足も甚だしい。

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