Scribble at 2023-09-11 15:08:41 Last modified: 2023-09-11 23:30:47
本書は、殆どの紙面を南北戦争前後のアメリカに集中して黒人とアメリカの関わりを描いているという点で特徴がある。また、その中の大半を『アンクル・トムの小屋』という作品と、この作品への反応という具体的な人々の発言なり行動によっても描いていて、本書で詳しく紹介されているマーティン・ディレイニー(Martin Robison Delany)という人物への興味も引き出された。ただし、彼は同時代に生きたフレデリック・ダグラスのような人物とは対照的に、生き方なり思想としても紆余曲折あって一貫しないところがあるし、かなり過激な言動を続けたため、ダグラスとは違って、たとえば岩波文庫とかに著作が翻訳されたりはしないわけである(実際、『アメリカの黒人演説集』にも入っていない)。でも、彼の書いたものはかろうじてオンラインで再編集されて Project Gutenberg に一部が収録されていたり、あるいはパブリック・ドメインとして他の著作が公開されているので、当サイトでも(内容の是非はともかく)公開したいと思っている。
それから、これは現代の人物だがアーネスト・ゲインズについてもいくらか調べておきたいと思った。彼女は『ミス・ジェーン・ピットマン(The Autobiography of Miss Jane Pittman)』という作品を書いていて、かつて NHK でも海外ドラマとして放送されたことがあるという。そういや、僕も子供の頃に『ルーツ』とか『戦争の嵐』だとか、民放のゴールデン・タイムに連続で放送されていた海外のドラマを観たものだったが、ああしたことは現代では難しいのだろう。なにせ、ジャニーズ事務所と吉本への忖度でクズみたいなバラエティ番組や歌番組を無理やり制作・放送しないといけないのが民放の実情だからだ。