Scribble at 2024-12-26 08:24:36 Last modified: unmodified

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DOJによる是正策では、Googleの検索市場での独占を抑制することで、Appleが独自の検索エンジンを開発するか、検索テキスト広告市場に参入し、Googleの競合になることが期待されています。しかし、キュー氏は「DOJの想定は間違っている」と述べ、Appleが独自の検索エンジンを開発するつもりがない理由として以下の3つを挙げました。

Appleが独自の検索エンジンを作るつもりはない3つの理由を語る

Apple が独自の検索サービスを開発しない理由として三つのポイントが紹介されている。だが、僕はそれらのポイントについて幾つか思うところがあるので、論評ないし補足したい。

まず、検索サービスをスクラッチ状態から開発しようとなると、確かに莫大な費用と時間がかかる。これは事実だろう。そして、オンラインのリソースをインデックスして、解析し、適切な結果をレスポンスするだけのアルゴリズムを考案して、ユーザに提供するというサービス全体において、後発の事業者には致命的な弱点がある。それは、いまあるリソースしか利用できないということだ。Google のような先行している企業は、既に20年以上にわたって蓄積されたリソースを持っていて、その中には既にウェブから削除されたり新しい内容へ置き換わったりしているコンテンツもたくさんある。だが、過去のコンテンツに意味がないかと言えば、たとえばコロケーションや語彙のデータとしては歴史的な意味があるし、コンテンツそのものの変更履歴という歴史的な意味もあるわけで、置き換わったり無くなったという事実そのものに意味があったりする。だが、後発の企業にそういう履歴をトレースするだけの「元のデータ」は存在しない。それを手に入れようと思えば、Google から(仮に Google がそういう過去のデータを売ってくれるとしても)莫大な費用で買い取るしかあるまい。

第二の AI に関する理由は、まったく正しい。われわれは、検索エンジンを使いたいわけでもなければ、そもそも何かのウェブ・ページを読みたいわけでもなく、本来は自分の興味や問いについての答えや情報を得たいのだ。したがって、正確で適切な答えを返却してくれるなら、検索エンジンでなくてもいいし、ウィキペディアでもなくてもいいし、Yahoo! 知恵袋や StackOverflow でなくてもいいわけだ。極端なことを言えば、隣の同僚や家族でもいいわけで、そろそろものを知るのに検索エンジンありきという発想は効率から言っても、得られる情報の精度から言っても、信頼性は低下し続けていると言える。碌でもない検索結果(その多くが広告だ)を並べ立てられるくらいなら、多少は精度が低くても単刀直入に情報を答えてくれる AI に関心を向かうのは当然であり、僕も最近は検索なんてほとんどしなくなった。Gemini に聞くだけでいいからだ。そして、僕には Gemini の答えが信頼できそうかどうかくらいの判断基準なり学識はある。

そして第三のポイントなのだが、「実用的な検索エンジンには、ターゲット広告を販売するプラットフォームの構築が必要です」などと断定すること自体、既に検索サービスが広告ビジネスの手段に成り下がっていると見做されている良い証拠だと言える。Kagi のような、有料で検索サービスを提供する事業は Hacker News でも話題になっているが、Kagi のインデックス・データは Google を利用しているということに注意する必要はあろう。事業の首根っこを押さえられている状況で、安定したサービスを今後も提供するのは難しいと思う。

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