Scribble at 2022-04-21 14:49:08 Last modified: 2022-04-21 21:54:12
ダニエル・ショーン(Daniel Schaum)という人物が Schaum Publishing Company で出版し始めた副読本のシリーズが "Schaum's Outlines" である。この会社は1960年代にマグロウ=ヒル社に買収されて、現在はマグロウ=ヒルの子会社にてシリーズが維持されている。2022年4月の時点で、100を超えるタイトルが発売されている(公式サイトの出版リストだと電子書籍が重複しているため、実際のタイトル数はリストのアイテム数である273よりも少ない)。また、その幾つかは版を重ねている定番のテキストであるようだ。おおよそ、高校の上級生から大学の初年度あたりをカバーする参考書や問題集であり、アメリカ独特の AP (advanced placement) という高校と大学の学科を接続する教育サービスの学習内容にも相当する("AP" は、高校生が大学の科目を学ぶ早期履修制度の一般名詞ではなく、商標登録されているサービスの名称だ)。英語の記述が簡潔で分かりやすいし、なんと言っても安くて問題の量が多いため、僕も上記の三角関数や precalculus の本を使っている。
もともとの発行者であるショーンについては、Wikipedia にもエントリーはないし、検索しても詳細は分からない。ただ、過去のタイトルを Internet Archive にある電子書籍で開くと、この人物自身も物理や化学のタイトルを執筆しているため、単なる出版事業者というわけでもないらしい。
それから、公式サイトの発行リストには "Easy Outline" や "Quick Guide" という小ぶりの判型で発行されているサブ・シリーズもあるし、今でも販売されているのかどうか怪しいタイトルも含まれている(冒頭で「100を超える」と書いたのは、リストに出ている273のうち電子書籍の重複だけでなく、品切れのタイトルや前の版といった重複も含まれているため、せいぜいそれくらいだろうと見積もったからだ)。たとえば "PROGRAMMING WITH FORTRAN 77" などというタイトルは、いま販売して読む人がいるのかどうか怪しいものだ。