Scribble at 2024-11-02 08:33:25 Last modified: 2024-11-02 22:50:12
2008年、私が戻った時のコンシューマープロダクツ部門(キャラクターの使用権をライセンシーに許諾し、商品を開発してもらうライセンス部門)は、業績が下降しているところでした。私の見たところでは、同社がやや日本的な経営のやり方に染まろうとしていたので、それを外資的な経営のやり方に戻さなければならないと大改革を行うことにしました。
自分の会社がどういう力を取引関係においてもっているとか、あるいは自分自身が会社でどのていどの権限をもっているかということに無自覚な人って、大企業にはたくさんいるんだよね。そういう人は、会社の「格」とか取引関係での優位性で好きなことが言えているだけだという事実に気づかないし、社内でも役員や役職者として一定の権限をもっているからこそできるという単純な事実にも気づかない。得てして、東大やアイビーリーグを出ていきなり外資系のコンサルに入って、大企業の重役に新卒の分際で好き勝手なことを言える立場になった人なんかに多いタイプだよね。自分がどれだけ(元)所属企業の高い下駄を履いてものを言ってるのか、ぜんぜん自覚がない、名刺の肩書だけで仕事をしているような経営コンサルとか物書きとか。
この記事でも、なにやら「日本的な経営」とかいうお化け退治をする必殺仕事人として幾つかの提案を書いているわけだけど、僕らのように20年近くも肩書なしで役職者をやってきたような人間から見れば、はっきり言って「ゴミ」みたいな文章だよ。こんなんで経営コンサルとか取締役とか、恥を知るといいね。
読めばすぐに分かるはずだが、彼が実行したという三つの施策は、二つ目の「完全成果主義」とやらを除外すれば、「日本的な経営」なんていうお化けとは何の関係もないものだ。そして、程度の低い「出羽守」に多いのが、欧米の人事評価システムを常に短絡的に「成果主義」などと言うパターンだ。でも実際には、そんな単純なことで人事考課をやってる SP500 レベルの企業なんてないよ。それは、もう最初から「欧米では成果主義」だという偏見を、他の日本人コンサルの通俗本から刷り込まれているからだろう。実際、彼の文章では「まだまだビジネスの現場でも情緒にすがろうとする日本人には馴染みがなく、それが日本経済衰退の一因だと私は考えます」などと話をすり替えているが、前任者として成果主義での人事考課を行っていなかったのはアメリカ人だったと、直前の段落で彼自身がはっきり書いているではないか。
ちなみに、この人物の「成果主義」というのは、正確に言えば予算や計画どおりに達成することを最低限の基準にする、いわば「ウェルチ主義」である。そして、この手法は、成果主義と呼ばれているマネジメント手法の中でも短期的な効果しか見込めないことが分かっている。実際、これを実行したウェルチ自身の事績によって、既に経営学では教科書に記載してもいいような定説になりつつある。せっかくの機会だから、日本の経営学者や経営コンサルの大半を凌駕する見識と知性がある僕が二流のコンサルに教えておいてやろう。