Scribble at 2021-09-23 16:50:31 Last modified: 2021-09-23 23:35:14

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ビジネス本ではないが、マネジメントに関連するかもしれないテーマだと思って買っておいた本を開いてみた。まず先に感想を言うと、全くの期待外れだった。この本はアマゾンにも商品情報がないし、おもむろに検索しても表紙の画像すら出てこないのだが、それもその筈だ。「集団の科学」というタイトルだが、いくら通俗本とは言え、「科学」の名に値するかどうかすら疑わしいレベルの本である。

本書は、簡単に言えば南極観測隊に同行した筆者が観察した観測隊員たちの動態報告である。南極観測隊についての些末な記録を延々と書いているかと思えば、学校で言えばこれこれに当たると言えるような集団行動を報告しているだけなのだ。それの何がいけないかというと、前者については南極観測隊という特殊な集団にしか当てはまらないことを書いており、後者についてはわざわざ南極観測隊を観察しなくても言えるようなことしか書いていないからだ。前者には応用可能性がまるでないし、後者は逆に既存の集団心理やグループ・ダイナミクスを南極観測隊の集団行動に応用しているだけだ。よって、本書の内容は、せいぜい観測隊の生活パターンについて分かったことをまとめたレポートという体のものであって、「集団の科学」という文言に匹敵するような規則性や普遍的な特徴などは全く分からない。南極観測隊員が仲間内でどういう隠語を使い始めたかなんて、そんなことを詳細に説明されても困る。

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