Scribble at 2024-08-07 15:07:24 Last modified: 2024-08-07 15:22:23

BOOKOFF で買ってきた本の中には、タイラー・コーエンの『大格差』(NTT出版、2014)もある。これも、いっときは AI で失業する職業は何かなんて話を、池上彰のバラエティなどで適当に喋っていたものだったが、そもそもそういう議論をオンラインのメディアに書いている「経済評論家」や「シンクタンク系のコンサル」こそ失業する(べき)人材ではないのかという突っ込みが世界中から集まったという皮肉な事例もある。

そして、そういう状況とは無関係を装っていたらしい、あの昔懐かしき「データ・サイエンティスト」なんていう人材も、実はクラウド型の強力な解析性能とリッチな visualization を提供する BI によって、不要の職業になるのではあるまいかと言われていた。でも、実際にはそんなことはない。というか、実際もなにも、そもそも日本に「データ・サイエンティスト」として就職できた人間が何人いるというのだろうか。確か滋賀大学にデータ・サイエンスの専門学科が出来たとかいう話題を見たことがあるけれど、その学科の卒業生で本当にデータ・サイエンティストとして進路を選べた学生がどれほどいるのか。進路は確かに公開されているけれど、京セラや富士通に就職したというだけでは証拠にならない。世界中の笑いものになっている、「SE」と称する営業として採用されたかもしれないからだ。

それから、そもそもこういう人材が必要なほど、つまり big data などと言われるほどのデータを必要とする事業や業種や会社なんて、実はそんなにないのである。たぶん、世の中の法人の 99.999% は必要ない。よって、データ・サイエンティストも不要である。こういう職能は、せいぜい大規模な業容の上場企業で余力のある資金で雇うのが限度だし、現実にも上場していなくて資金がない大多数の起業では採用できないであろう(たぶん、修士ていどの学位を得た学生は、海外と比較しても年収3,000万円ていどを期待するだろうが、日本でそんな給与を新卒のデータ・サイエンティストに出す会社はない)。

また、これは統計学や社会調査論においても昔から言われていることだが、理論や解析手法を知っているというだけで、どういうデータや属性をどのていど必要とするかが分かるわけではないということである。そして、得てして日本でも海外でも理数系の学生というのは未熟な世間知らずと相場が決まっており、企業において顧客や商品や自社の業務について、何かデータを集めて解析するにあたり、何を知ることで参考にするべきであり、そのためには何をデータとして集めるべきなのか、ぜんぜん分かっていない、「さんすう」が得意なだけのお坊ちゃんやお嬢ちゃんであったりする。つまりは、人として未熟な人間に的確なデータの解析や調査なんて出来ないのだ。そして、それをサポートするためにこそ優秀なマーケティングの人員が必要であることを理解している企業も少ないため、得てしてデータ・サイエンティストとマーケティング担当者が社内で反目している事例もあるらしい。

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