Scribble at 2020-04-01 21:25:05 Last modified: 2022-10-03 08:57:30

比較的短時間で成分が揮発し残留性がほとんどないという点で安全であるので、食品衛生や哺乳びんの消毒などに低濃度で繁用されているが、金属に対する腐食性が高いため医療器具への適用はプラスチック製品などに限られる。漂白作用があるためタオルなどリネンの消毒にも適しているが、色物のリネンを脱色する。物品、環境への使用も可能で、非生体消毒薬として最も有用な消毒薬のひとつであるが、腐食性や塩素ガス発生の危険性などを考慮すると高濃度溶液を広範囲に使用することは避けるべきである。手指、皮膚などへの適用も認められているが、手荒れを招く場合が多く、持続効果も期待できないので生体適用が適切な場合はほとんどない。酸との混合により多量の塩素ガスが発生するため、この点で取り扱い上の安全性に留意が必要である。また原液の濃度において安定性が悪く、冷所保存をしなければ比較的短期間に表示量以下の濃度に低下してしまう。

(1)次亜塩素酸ナトリウム

会社で、次亜塩素酸が入った除菌剤を導入したとのことで、室内で噴霧して回っていた。次亜塩素酸ということで、ややカルキ臭い(次亜塩素酸カルシウムの別名が「カルキ」である)。それはそうと、これは手に付けるようなものではない(そもそも、手に付けてもすぐに蒸発するから意味がない)。塩酸ではないものの、pH によっては上記の説明にあるとおり危険な場合があり、濃度の高い状態で熱が加わったり他の溶液が混ざると爆発することもあるようだ。あと、これを何かに浸して首からぶら下げる商品が発売されているようで、そんなものは気休めどころか自殺行為であろう。なお、社内で噴霧されていたのは専用の除菌剤として作られた商品だが、自治体のサイトでも公開されているように、同じ効果をもつ除菌・滅菌の液体は花王さんの『キッチンハイター』を薄めるだけで簡単に作れる。それから、この溶液は放っておくと4か月くらいで有効濃度が半分くらいに自然と分解してしまう性質がある。そして、そのまま放置しておけば、ただの塩水になってしまうのだ。なので、あまり大量に作っても、使わなければ無意味である。

ちなみに重要なことだと思うが、「安全な消毒液」というものはない。殺菌効果が高いものは、どのみち pH によっては人体にも悪い影響がある(化学火傷など)。したがって、濃度をコントロールすることが大切で、まったく不要というわけでもない。実際、カルキの話を冒頭で書いたように、水道水の除菌・滅菌には必要なものである。なお、販売されている滅菌剤の多くは数十秒で新型コロナウイルスが死滅するなどと書いているらしいが、恐らくはそれは言い過ぎだろう。学校のプールを思い出してもらいたいが、体育の授業を始める直前にカルキをプールへ投入する用務員などいない。最低でも数時間前、つまり登校時刻よりも前にプールの清掃を終えて新しい水を浸してからカルキをプールへ投入するのが実務であり、これは要するにカルキで滅菌するのに最低でも数十分から数時間は見ておく方がよいということを意味している。

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