Scribble at 2021-03-23 08:12:19 Last modified: unmodified
PHILSCI.INFO で帳票類の廃棄処理とかスキャンの話を書いた。その落書きを寝床で読み直していたときに、「本当にその会社の情報がほしいなら、5mm くらいに裁断された紙クズからでも書類を復元しようと思えばできるわけだから、シュレッダーの裁断なんて、実は情報管理として大して安全とは言えないのである」と書いており、こう書いた際は手作業で復元することを想定していたのだが、ここを読み直していると、この裁断した紙片をスキャンして、両端のインクがあるなしというパターンを使って〈貼り合わせる〉ようなソフトウェアがあれば簡単ではないかと思った。
調べてみると、確かにそういうソフトウェアを開発して販売している会社がある。ただ、そう大きなマーケットではない(シュレッダーにかけた側からすれば、こんな復元はする必要がないしされたくもないだろう)。はっきり言って、大半の企業でシュレッダーにかけられている書類なんて、それこそ企業スパイという観点からもクズでしかないからだ。せいぜい、株価を予測するための材料として上場企業の財務書類や企画書、あるいは社内レポートの類を扱うか、競合どうしで開発中の薬品なりサービスなりを調べるくらいの用途しかないだろう。もちろん、たとえば出資している銀行なら出資先の企業が上場していようと場末の零細デザイン会社だろうと、事業の先行きを推定するための資料としてクズでも欲しい場合はあろう。しかし、そのていどのことであれば諜報活動など不要である。
それゆえ、技術的な興味はあっても、これで起業するなんて考えは止めた方がいいだろう。また、僕ですら思いついたような話は、プロのインテリジェンス出身者が既に幾つもの手法なりソフトウェアを開発して利用し始めていると考えるべきである。こと産業や軍事利用の諜報活動にかかわる手法や技術や知識や道具を、わざわざウェブサイトまで作って宣伝するような事例は限られていると思った方がよい。