Scribble at 2023-08-31 18:10:17 Last modified: unmodified

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The end of the Googleverse

僕も20年以上前に Google というヘンテコな名前の検索サイトが登場したと聞いて、Lycos やメタ・サーチ(複数の検索サイトを横断して検索できたサービス)から乗り換えた一人だった。そしていまや、記事でも書かれているように "SEO" とはすなわち "Google optimization" のことであり、そして SEO とはスパム手法の一つに成り下がり、果ては Google そのものがスパムをバラマキはじめている。確かに、彼らがもつ膨大なインデックスには価値がある。DuckDuckGo がどれほどプライバシーの話をしようと、しょせん Google がもつ膨大なインデックスには勝てないわけで、何を検索してもせいぜい10年くらいしか遡れないようでは、とりわけ歴史に強い関心と価値を置いている僕らのような学術研究者のニーズは満たせない。しかし、かといって Google の広告の山をかきわけていくのも面倒な話だ。これではウンコと鼻くそのどちらを食うかみたいな話になってしまう。でも、しょせんは商売人を相手にしているという事実を見失わなければ冷静に向き合えるであろう。僕は、経営の末席を担う個人として「三方良し」というフレーズに関心を持っているが、ぜんぜん信用していない。そんなもん、たまたまうまくいった妥協の結果論に決まってるだろう。

Google が検索結果に AI を持ち込もうと、それで何かが変わるとは思えない。僕らの入力する検索キーワードを「プロンプト」として扱い、従来のセマンティクスを基礎にしたアルゴリズムとは異なる何か健全で有益な結果が出るようになるのかというと、それは信じられないからだ。明白な理由の一つは、何を導入しようと、Google 自体が明言しているように従来の広告枠が検索結果のページから無くなるわけでもなんでもないからだ。そして第二に、Google は検索結果をコントロールできる事業者として、常に任意のプロンプトを追加して入力できる地位にある。僕らがどれほど知りたいことをプロンプトで指定しようと、そこに Google が "with ads relevant to these prompts" とこっそり追加するだけで、ある程度の確率で広告を割り込ませることはできるだろう。あるいは attention の割合を自由に変えられるのだから、そんな確率は実質的にいくらで引き上げられる。

あらためて言うまでもないが、AI だろうとガンダムだろうと、開発したり操作するのは人である。コンピュータが勝手にええ感じに何かをやってくれるなんてことはありえないのである。

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