Scribble at 2022-07-05 09:18:37 Last modified: 2022-07-05 12:31:40

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FORTRANを初めて勉強しようとする人々への入門書であり、教科書または副読本として好適。

FORTRAN入門

目次は「第1日 やさしい計算と読み書きのプログラム / 第2日 計算センターにて / 第3日 繰り返しの計算 / 第4日 一群のデータの取り扱い / 第5日 サブルーチン / 第6日 関数の計算 / 第7日 補足 / 付録」となっているが、最後の付録が4割ほどを占めていて、しかも第1日から第7日までの6割を占める本文は対話篇の形式になっていて、やや驚いた。

これから読むのだが、得てして対話篇というのは相手が灘高校や開成高校の高校生とか東大生を「標準的な学生」として設定しているご都合主義の展開で読者を煙に巻いてしまうことが多い。もっと酷い場合は学者どうしでプロパーにしか通じない脈絡とか含意をもつ発言の応酬が繰り返されて、異なる専攻のプロパーにすら分からないものがあったりするから要注意だ。対話篇で〈教科書として成立している〉と言いうる適正な水準の著作物は、僕がこれまでに読んできたものを思い返すと、だいたい1割以下である。膝を叩くほどの名著なんて、はっきり言って1冊もなかった(専門家には悪いが、僕はプラトンの著作ですら対話篇として無条件に優れた作品だとは思えない)。

それはそうと、本書はもちろん絶版なのでアマゾンにて古本屋から手に入れたのだが、表と裏の中表紙に何か所か蔵書印があって、蔵書の整理に使っていたのか「2531」という番号まで書かれている。僕は、こういうのは先に読んだ人々の様子が分かって楽しいのだが、もちろんこういうのを毛嫌いする人もいる(新刊書ですら、自宅に持ち帰ったら最初に消毒剤をかけて、何日か放置してから書棚へ入れる人がいるらしい)。

あと、この書名なのだが、どうして「FORTRAN」の "O" にマクロン(長音記号)が付いて "Ō" になってるんだろうか。そして本文を読むと、すぐに気づいたのだが、アルファベットの "O" が出てくるトークンには全てマクロンが付いている。"ŌF" とか "ŌN" とか "FŌR" のように、プログラムのコードで使われていようと本文の叙述で使われていようと、お構いなしに全て "Ō" になっている。恐らく、僕らが逆に数字のゼロをスラッシュ付きで表記している習慣と逆のことが行われていたのだろう(ちなみに、マクロンが付いた "Ō" は UNICODE に登録されているが、いわゆる "slashed zero" は UNICODE になかったりするので、フォントの字体としてスラッシュがたまたま付くというラッキーに頼りたくない人はギリシア文字のファイを使ったりするらしい)。

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