Scribble at 2021-04-01 11:52:16 Last modified: 2021-04-01 11:54:49

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同じような服ばかりで買いたい服がない。過剰供給→大量売れ残り→不良在庫の悪循環。問題点は明白なのに変わることができない―。アパレル業界には、他の衰退産業とも共通する病巣がある。サプライチェーンをくまなく取材した渾身のルポを文庫化。

誰がアパレルを殺すのか(杉原淳一・染原睦美/著、日経ビジネス人文庫、2020)

うすうすはご想像のとおり、当サイトで公開している船場センタービルにかかわる話題として、かなり手広く資料を当たっている。特に、船場センタービルは衣料品の業界と縁が深い商業ビルであるから、戦後のアパレル業界の動向も知っておいたほうがいいわけで、本書で描かれたような事情も参考になる。昨日、京都へ出張する前に阪急梅田の書店で買ってから、烏丸に着くまで半分くらい読んだのだが、なかなか面白い。

それにしても、本書で業界の陋習として指摘されている、流行を生み出すよりも流行に追随しているような実態は、まだマシな方ではないのかと思えてくる。なぜなら、船場センタービルの店舗によっては、申し訳ないが何かの資料館なのかと思うような衣類しか置いてないからだ。それでも経営が続けられてきたという事情には、たぶん日経の記者や社会学者でもなかなか入っていけないところがあるのかもしれない。ただ、そういう分からなさゆえに、オンラインだけに限らず市井の会話でも色々な、恐らくは不当な内容ではあろうと思うが、幾つかの脈絡では差別に当たるような憶測も語られ続けるのだろう。

僕は経営学者でもなければ経済記者でもないし、もちろん社会学者でもない(一時期は法社会学の専攻を志してルーマンやパーソンズやエールリッヒを読んでいたこともあるが)。よって、この手の話題に軽率に関わって迂闊なことを書くつもりはないが、周りから見て常識的に変だとか不思議に思うことは、調べて書き表すことも必要だと思う。そういうことも含めて、興味深い施設として、素人であるにせよ、わざわざこれだけのコストをかけているのだ。

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