Scribble at 2026-01-16 11:09:31 Last modified: 2026-01-16 11:12:13
ヘテムルのプランとして、最上級の「MAX」をリリースしたというお知らせを受けた。要するにマネージド・サーバをレンタルするということで、32 コア+13 TB+256 GB RAM というハイスペックな 1U 筐体を占有できる。CPU の正確なスペックだとかストレージの種類など他の構成はヘテムルのサイトではわからないが、採用されている Dell PowerEdge R670 というマシンを DELL のサイトで簡単に組んでみただけでも400万円以上はする。
これは、賃貸の高級マンション、あるいはホテルと同じく、ヘテムル側にとっては稼働率が鍵になる事業だ。初期費用10万円と月額料金の7万円とを合わせて、年間で回収できるのは100万円にもならないのであるから、1台の筐体を4年に渡ってフルで稼働させないと元が取れない。うーん。僕が経営者ならコミットする気にはなれないな。ストレージについては、確かにパブリック・クラウドからプライベート・クラウドへの回帰が話題となっているけれど、ウェブサイトの運用についてはクラウドからレンタル・サーバへの移行なんて、トレンドどころか話題にもなっていないからである。
そもそも、ウェブ・サーバの選択については、クラウドを利用できる事業者とそうでない事業者には明確な断絶がある。なぜなら、クラウドを扱える技術者というのは、そもそもレンタル・サーバを利用していた頃でも専有サーバで OS をセットアップするスキルがなくてはいけないからだ。なので、OS のセットアップができる技術者がいない大半の企業においては、AWS や GCP や Azure などがどれほど普及しようと、そもそも人材がいないから導入しようがないのだ。そういう会社は、いまでもたくさんあって、もちろんマネージであろうとなかろうとレンタル・サーバを使っている。弊社でも、僕がいなければ殆どの受託案件でレンタル・サーバを使うはずである。そして、そういう会社は「MAX」のようなスペックのサーバを必要としているはずがない。すると、このサービスのターゲットはクラウドからの移行を検討している企業ということになるのだが、そういう企業がどれほどあるだろうか。既にクラウドでサイトを運営しているということは、社内あるいは少なくとも下請けに OS の運用ができるスタッフを抱えているのだから、いまさら専有のレンタル・サーバに移行するということは、それらスタッフの人件費をカットして年間100万円弱のレンタル・サーバへ移行するということになる。だが、そういう厳しい事情を抱えている企業が、そもそもクラウドでサイトを運営しているのだろうか。
実績として紹介されている『デイリーポータルZ』のような、メディア企業であれば、確かにエンジニアがいなくてもいいと言えばいいのであるから、顧客になりうる。でも、そういう事業者、しかも年間でサーバ費用に100万円を出せる企業が日本にどれほどあるだろうか。いまや上場企業ですら、さくらインターネットの月額数百円で契約するレンタル・サーバを利用するにも逡巡する時代だ。