Scribble at 2020-04-30 07:19:48 Last modified: 2020-04-30 09:55:18

私も集めたデータからCOVID-19を疫学してみました。

私の予測は(2020-04-27時点です)次の3点です。

1. 日本ではCOVID-19は大流行しない

2. オーストリア、スイス、フィンランド、イタリア、デンマーク、ドイツ、米国、中近東、南米では大流行する

3. 中央アフリカでは流行しない

131:伝染病を正しく怖がるにはどうしたらよいか?コレラからコロナを考える(1)人間到る処バイキンあり(15)(望月吉彦先生) - ドクターズコラム

言語学者である小島剛一氏のブログで紹介されていた記事だ。小島氏は特に内容をどうこう批評されているわけではないが、ざっと読んだ限りで言えば、たいへん迷惑な記事だと思う。まず引用した箇所で分かるように、4月27日の時点での「予測」と称する三点は、単に4月27日の時点で小学生でも言えるような結果論を述べているだけである。特に 2. については、既に「大流行」している事実があるのだから、こんなことを今の時点で「予測」などと称して言うのは不見識だ。

加えて、この方は少なくとも医者ではあるかもしれないが、疫学の専門的な教育を受けているわけではないだろうし(少なくとも疫学や公衆衛生学の学位など持っていない筈)、それどころか医療統計学の素養があるかどうかも不明だ。実際、「疫学する」などと軽口を叩いているが、専門的な意見を述べるための疫学調査というものは、ググって出てくるていどのデータを集めるだけで済むわけではないし、統計の結果から何かを言う場合には、その「統計」がどのような前提で収集されたりまとめられたのかを詳らかにする責任がある。文末に「こういう資料を見て考えてみましょう。」とあるため、「疫学する」手法や解析上の前提について語られる可能性はあるが、もちろん専門的な論文では当たり前のこととして、何かを明言するにあたっての前提を「詳しくはウェブで」とか「次回に続く」などとして、実質的に放置するのは、次の文章が現れるまでの間に根拠を知らないまま彼の「予測」を情報の一つとして利用する人が出てきしまう以上、道義的にも問題がある。

思うのだが、小島氏はもともと野口英世が日本で《まともな感染症学者》として扱われていることに異議を述べておられるので、「野口の黄熱病に関する研究や論文はすべて『間違い』です」と述べている著者に何らかの好意的な予断を持っているのではないだろうか。今回の大規模な感染症の蔓延に関わる感想としては、たとえば「感染症対策:歴史から学ぶ」(https://hiroshi-kizaki.hatenablog.com/entry/2020/04/29/090432)のような記事の方が、書き手の専門分野なり個人としての意見という範囲で書かれており、適切だと思う。

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