Scribble at 2024-01-11 09:33:44 Last modified: 2024-01-11 09:43:51

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それこそ僕がシステム開発やコーディングやサーバ構築の仕事に従事し始めた20年以上も前から殆ど変わっていない風習だと思うのだが、サーバとかシステムとかコードとかプログラムを扱う人々というのは、出来上がったり公開されたサイトに関心がないと思われやすいんだよね。したがって、雑に言って「システム担当」と呼ばれる人々は、サイトの正式な公開スケジュールすら知らされずに、たまたまチャットで別件のついでに知らされて、初めて自分の仕事が反映されていたことを知ったりするのだ。上にわざとボカしてスクリーンショットを掲載しているのは、関東圏の某自治体が公開したヤングケアラーの啓発サイトなのだが、これのサーバは僕が運用している。でも、このサイトが昨年の公開されていたことは、さきほど初めて知った。これは、情報セキュリティという観点から言ってもサーバ・エンジニアが知らないうちにコンテンツが配置されるというのは危険なことなので、いちおう(もう15年以上もディレクターをしている)担当者には説明しておいたのだが、このウェブのディレクターというのは何年経っても、それから年齢が何歳であろうと、とにかく不勉強な人が多いし、そもそもシステムとか通信ネットワークとかコンピュータにぜんぜん興味がないという人が非常に多くて困惑させられる。

もちろん、高校生の同好会じゃあるまいし、安っぽい仲間意識とかを求めているわけではないのだが、こういうディレクターの態度に現れているように、僕らのような本来の IT 人材(デザイナーやディレクターは、実は IT なんてこの世になくても仕事ができるはずのスキルだ。ディレクターは進捗係やプロマネだし、デザイナーは手書きや積み木でも何かを設計すべき仕事だ)が、しばしばウェブの制作会社内で実質的には社内外注のような扱いになっている。そして、どういうわけか「ウェブ制作」と言えばデザインとか UI とか UX とか、要するにビジュアルやフロントエンドのことだという、主に広告代理店が仕掛けてきた錯覚が見事に業界の外だけでなく内部にも広がり、要するにウェブ制作の仕事とは客(クライアント、あるいはオンライン・サービスの利用者)に訴えたり、彼らを籠絡するビジュアル・インターフェイスを作ることだという印象を、それこそウェブ・コンテンツを制作したり運用する当事者にも刷り込んでしまったと言える。

したがって、この業界の当然のトレンドとして、いまや「サーバレス」とか「コーディング不要」というサービスが多くの制作会社に導入されている。正直、当社のようにナショナル・クライアントの案件を担当するような制作会社でも、既に社内にコーディングを担当する社員は一人もいなくなったし、問い合わせフォームなどは Google Form に飛ばしたり、あるいは予算があると外部の開発ベンダーに安値で発注したり、予算もないのにオリジナルのフォームがほしいという愚劣な要求を掲げるクライアントには、ここにこうして事務屋という仮の姿をした優秀なプログラマがいるので、ほぼ無償で対応するというわけである(実際、たいていの電通案件なんてグロス契約だから見積もりにすら計上していない)。

これからウェブ・アプリケーションの開発とか、あるいはウェブ・ページのコーディングといった仕事に従事したいなどと憧れるような若者は、もういないだろうとは思うけれど、もしいるなら、僕はウェブ制作会社ではなく IT ベンチャーやネット・ベンチャーのスタッフとして就職することをおすすめする。いわゆるウェブ・デザイン会社とかウェブ制作会社、要するにホームページ屋に就職しても、第一に殆ど給料は上がらないし、第二に会社が倒産する頻度も高い(だいたい平均して3年以内に倒産する。昨今は仕事も減っていて予算規模も低いので、もっと倒産確率は高い)し、第三に本来の IT 人材であるはずなのに社内では殆ど尊敬も尊重もされない。僕のように、かつては広告賞で入賞していて電通マンから絶大な信頼を置かれていたエンジニアですら、いまでこそ会社の重鎮として尊重はされているが、仕事に関しては冒頭で述べたように外注扱いだ。自分が携わろうとする仕事に期待や誇りを感じている若者に限って、ウェブ制作会社に就職すると、やる気を失う可能性が高い。バックエンドの技術力や仕事が尊重されるベンチャー企業の方が、これはこれで博打みたいな事業ではあるが、まだ精神的にはマシであろう。

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