Scribble at 2024-05-29 20:19:29 Last modified: 2024-05-29 22:41:49

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Ready-to-use development platform that accelerates the process of building business applications and internal tools.

Openkoda

Open Office とか LibreOffice とかオープン・ソースのツールを EU では一斉に採用するといった話題があるけれど、依然として広範に普及しづらいのには、なるほどさもありなんという理由があると思う。とりわけ、ビジネスの実務で使うアプリケーションというものは、各国の法令に合致した処理内容や精度や非機能要件によって導入したり運用しなくてはいけないので、はっきり言わせてもらえば法律や財務・経理・人事といったバック・オフィス関連の素人が小手先のプログラミング・スキルだけでリリースできるものではないし、してはいけないと思うんだよね。ガキには業務知識もなければ経験も資格もないし、おまけに職責という意味での職業倫理だってないわけじゃん。

仮に、百歩譲って事業者での実装が各自のカスタマイズに委ねられているとしても、それを誰がやるのっていうことになる。これも、「オープン・ソースの逆説」として知られているように、企業で実務に携わっている人なら誰でも知っていることだが、オープン・ソースのシステムを自社の業務プロセスに最適化するカスタマイズの費用は、出来合いのプロダクト(たとえば奉行シリーズとか弥生シリーズとか)をカスタマイズする費用よりも、絶対に高額となるという経験的な事実があるのだ。なぜなら、オープン・ソースのシステムを自社の業務プロセスに最適化するには、たいていの企業において、(1) そのアプリケーションをカスタマイズして自社の業務プロセスに、そもそも最適化できるかどうかを検査する人員あるいはコンサルの費用がかかり、(2) カスタマイズして最適化できるとして、それを社内で行える人員や部署が最初からなければ、どのみち外注に出す必要がかかり、そして (3) メンテナンスのために、最低でも既存のプロダクトを利用するのと同じくらいのコストがかかるからだ。大半の企業においては、これら (1) ~ (3) のコストがかかるので、奉行シリーズや弥生シリーズをカスタマイズして導入するよりも大きな予算を必要とする。

なので、こういうツールを安易に自社の業務に導入するなら、その一部だけで「便利ツール」として使うくらいが関の山だろうと思う。そもそも、こういうプロジェクトはたいてい長続きしないので、企業にとって重要な指標である事業継続性を支えるようなオープンのプロジェクトというのは、現実には殆どないと言っていい。そういうプロジェクトから出発して、仮にリリースしているグループなり企業が上場したとしてさえ、事業継続性なんてアメリカの市場では大して期待できないわけである。

企業経営においては、たとえベンチャー企業であろうと、多くの実務や経営判断において「長いものに巻かれる」ことが大切だ。やみくもに新しいだけとか奇抜なだけという理由で物事を決めるのは、ベンチャー・スピリットでもなんでもない、ただの無思慮やデタラメである。

それから開発プロジェクトとして評価させてもらうと、コミッターの履歴を一人ずつ丁寧に確認すれば分かるのだが、これ6人いるコミッターの全員が、去年とかだと殆どコミットしてないんだよね。どう考えても完成されたシステムでもなんでもないのに、アクティブに手が加えられている形跡がないんだよ。僕らみたいなプロのエンジニアであり、そしてネット・ベンチャーでビジネスとしてシステムを動かしてる人間から言わせてもらえば、こんなもんは「遊び半分」としか思えないね。

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