Scribble at 2023-01-15 10:15:34 Last modified: 2023-01-15 10:47:02

実は Kazakiri を使い始めてから暫くすると気づいたのだが、替刃を挟んでいる部品を外から更に挟むための hinged lever が剃っている最中に外れてきてしまうのだ。滑るクリームや泡が付くから動きやすくなるのは設計するときに想定している筈だと思うのだが、こうも外れてくると替刃まで外れないか心配になる。そこで、こういうことに対処できそうなタイプの剃刀はないものかと探してみたら、やはり替刃をカートリッジに組み込んでスライドさせてハンドルに装着するタイプの shavette があり、そもそも本家 DOVO の shavette ブランドの製品は、そういう作りになっている。hinged lever を使うタイプは DOVO にはないのだ。そして、DOVO の shavette は "shavette" を名乗っている大半の replaceable blade straight razors とは違って、カートリッジの構造からして頭髪用の長いブレードも装着できるように作られている。なので、同じ名称を使っていても DOVO の shavette は作りからして異なっている。いわゆる "shavette" と言っている剃刀は、DOVO の shavette の一部の機能をもっているだけなのである。だからこそ、DOVO のサイトで使われている動画では他社の "shavette style" の剃刀を "copycat" と一刀両断に切り捨てているわけである。まさに剃刀メーカーらしい、切れ味のよい表現だ。

ただ、その心意気は分かるのだが、日本で DOVO の「本物の shavette」を手に入れるのは非常に面倒だし、手に入れようという意欲がなくなるほどの高級品となってしまう。たとえば、僕がこれまで使ってきた Schick の安全剃刀だと、本体は1,000円もしないし、替刃もせいぜい4個で2,500円前後である。でも、DOVO の shavette を本家の通販サイトだろうと Amazon だろうと、どこで買おうと輸入することになるため、最も安いモデルを最低の輸送オプションで購入しても8,000円くらいになる。いつものことだが、僕の一ヵ月の小遣いが吹き飛んでしまうようなキャッシュ・フローのインパクトに耐えられるほど、たかが髭剃りに大金を使うわけにはいかない。そもそも、何度も高額の替刃を買うのがもったいないからこそ、shavette にしたのである。いくら品質がいいと言っても、髭をきれいに剃ってる浪費家では本末転倒だ。

ということで、Kazakiri は既にヒンジがバカになりつつあるし危険であるため、いくら何でも安物買いだった気がするけれど、だからといって趣味的にあれこれと剃刀を買うつもりはないので、ヒンジがぐらつかなくて安いタイプを探すしかない。でも、海外の通販サイトやメーカーの公式サイトは、とにかく輸送料が高すぎて買う気がしない。現地で $10 くらいの剃刀でも通販で日本に送ると、追跡すらできないクズみたいな輸送オプションですら5,000円くらいになってしまうからだ。かといって、アマゾンに出ている商品はとにかく高い。これでは高いと悩んでいる公式サイトの商品を買うのと変わらない。こういう状況では、そら誰も traditional wet shaving なんて手を出したりしない。理容師業界や日本のメーカーは、それを狙っているのかもしれないが、もし狙って一般人が西洋剃刀を手に入れにくい状況を維持してるなら、それはどう考えても業界全体としての緩慢な自殺行為でしかあるまい。もう大半の人は4,000円も取られる散髪屋なんて行かずに QB House にしかいかないのだ。西洋剃刀で剃ってもらう心地よさと難しさを多くの人が子供の頃から殆ど実感できないまま、安全剃刀や dry shaving(電動剃刀)の経験しかなければ、さらに理容室へ足を運ぶ理由なんてなくなるだろう。また、ここ最近では髭剃りなんて面倒はことはせずに脱毛の方が手軽だと感じる人も増えているというし、髭剃りそのものの値打ちがなくなってしまうだろう。

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