Scribble at 2026-06-03 15:14:26 Last modified: 2026-06-03 18:37:49

僕自身が数年後には還暦を迎えるわけだが、弊社そのものも社員の平均年齢が40歳を超えると言われていて、これはこれで漠然とした危機感のようなものがある。その最も強い理由は、歳をとると新しいことを学ぼうとする意欲が減退してしまうことだ。いまさら四十歳を過ぎて昇進もなにもなく、ただ単に会社が存続して現状の給料をもらい続けていればありがたいという、安定志向の人が増えるのは自然なことだ。しかし、会社が存続するためには現状維持ではいけないのであって、サービスの品質を(クライアントから見て)向上どころか維持するためだけでも現状のままではいけないのである。

なので、40歳くらいであれば高校時代に「情報I」を修めた人はいないわけで、どうしてもネット・ベンチャーの社員としての基礎的なリテラシーが不足していると言わざるをえない。もちろん、世の中にいる大人を見れば分かるように、たとえ東大や慶応を出ていても高校レベルの教養すら欠落しているような人はたくさんいるわけであるから、およそ高校を出ているからといって、中等教育に含まれる教科のあらゆる内容を身に着けている人なんて殆どいない。僕だってそうだ。いちどは暗記した百人一首や歴代天皇や元素記号や酵素など、多くを忘れてしまった。

そして歳をとると困るのが、思い出したり改めて学びなおす必要を感じなくなってしまうのだ。だって、忘れてしまっても生活できていたし、結婚もしたし、子供も育てた。いったい、百人一首を覚えていないからといって、それがなんだというのか。ということで、過去に学んだことすら軽んじる心理が働きやすいのであるから、いわんや新しいことなど大半の人々にとっては必要を感じられないというわけである。「いまから Python のプログラムが書けるようになったからといって、給料がいくら上がるの?」、「個人情報保護の社内ルールを覚えたところで、定年後にプライバシーマークのコンサルになれるわけでもなし」といったぐあいだ。

これから5年くらいをかけて、後進に幾つかの業務やポジションを引き継げるように準備をしたいと思ってはいるのだけれど、まずもって知識や経験を身に着けてもらうことが難しいだけでなく、そういうメンタルまで鍛え上げるのは大変に困難だと言わざるをえない。まだ若いうちなら、こう言ってはなんだが転職や昇進に活かせるという理由で納得してもらうこともできる。いわゆるキャリア・パスにとって無駄ではないという説得だ。でも、四十歳を超えて部門長にすらなっていない平社員の人間にキャリア・パスもなにもないというのが、日本の実情である。すると、会社の組織として彼らに動機付けを与えるのは不可能であるから、残るは自発的な動機を醸成することだけであろう。そのためのきっかけになるような研修の教材を用意する必要があるなと感じている。こちらとしては誘導しているわけだが、あくまでも自分自身で思い立って何かを学ぼうとするかのような意欲をもってもらいたい。

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